2019年 12月 7日 (土)

組織が「不正」を起こすとき メルシャン報告書を読む(上)

印刷
糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   売上や利益を水増しする「架空循環取引」が明らかになり、2010年8月に決算を修正したワイン会社メルシャン。07年12月期から09年12月期で純損益が赤字へ転落、不適切な取引による損害の総額は65億円にも上った。公開された「社内調査報告」と「第三者委員会報告書」を読むと、自らの立場を守ろうとする「人と組織の弱さ」が見え隠れする。

「キリン傘下入り」で事業部長が危機感募らす

報告書には詳細な手口が書かれている
報告書には詳細な手口が書かれている
「実はその売掛金、実態のない架空請求によるものなんです――」

   10億円近い売掛金が期限を過ぎても支払われなかったため、半年前に赴任した新任の水産飼料事業部長が入金予定を尋ねた答えだった。

   2010年5月10日、ある養殖業者の申し出により、メルシャン水産飼料事業部を中心とした不正取引の存在が明かされた。

   水産飼料事業部門は、タイやハマチなどの養殖魚のエサを製造・販売する部門。アルコール製造により発生する残りカスを利用した養殖魚飼料の生産を開始したのは、1975年のことだ。

   社内では傍流の事業であり、事業所は四国や九州などの遠隔地にあって、他の事業部との人事交流もほとんどない。

   不正が始まったのは、08年1月。それ以前にも取引業者との間で、さまざまな帳簿上の数字の「貸し借り」をしていたが、そこに使用禁止成分のエサへの混入や、台風による養殖魚の全滅などのトラブルが発生。損失を隠すために、飼料製造会社の工場長を務める会社OBらとともに、「循環取引」の開始を決めた。

   これに先立つこと約1年前、メルシャンはキリンビール(後のキリンHD)の傘下に入っている。

「会社は水産飼料事業から撤退する方針だ」

   そう捉えた当時の水産飼料事業部長は、取引先との統合による生き残りを画策。後にこの取引先へも出向し、事業部との癒着を強めた。

   不正取引自体は、モノを動かさずカネだけ動かす古典的な手法だ。メルシャンが養殖業者Aに架空の売上げを立てる一方、飼料製造会社Bに架空に製造委託したエサの費用を支払う。B社はA社から、架空購入したエサの費用を支払い、A社はこの費用でメルシャンへ売掛金を支払う。

今すぐ無料会員に登録して、コメントを書き込もう!
粉飾の論理
粉飾の論理
  • 発売元: 東洋経済新報社
  • 価格: ¥ 1,890
  • おすすめ度 4.0
お知らせ

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中