単身赴任で10キロ増! 内臓脂肪が付きやすくなるメカニズム

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   肥満とストレスとの関係は、明確に定義されてはいないものの、ストレスが原因となる肥満について、いくつかの研究が報告されつつあります。そのひとつに「ストレス時に放出される物質が、脂肪細胞に対する抑制を外してしまう」という見解があります。

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同じものを食べても太りやすくなる

そういう理由だったのか、と膝を打つ人もいるのでは
そういう理由だったのか、と膝を打つ人もいるのでは

   動物実験で「高脂肪・高糖分食」を与えたところ、ストレスを負荷した群は、同じものを食べたストレスのない群と比較して、明らかに内臓脂肪が増加したそうです。

   国内の肥満症治療の専門家の間では、健康維持のために減量が必要な高度肥満の方に対する「メンタル面への治療的なアプローチ」が研究課題のひとつとなっています。

   イライラすると焼肉が食べたくなる理由は連載第6回でも説明しましたが、要するに、強いストレス下にあると脂肪や糖分の多い食べ物に手が伸びてしまい、かつ身体に付きやすくなるので太ってしまうのです。

   美容やダイエットには、基礎代謝や運動のほかに、ストレスをコントロールすることも重要な要素となってきます。

   この他、忙しく働くビジネスパーソンは、肥満となりやすい現実的な要因にさらされています。特に、睡眠不足と肥満は、関係が深そうです。

   夜遅くまでの残業や、帰宅してからの夜更かしなど、起きている時間が長いと、消費するカロリー以上に食べてしまう機会が増えます。疲れてストレスのたまった状態では、好きな食べ物を食べることが唯一の楽しみという人もいるかもしれません。

   睡眠不足によって、食欲を抑える働きのあるレプチンというホルモンの分泌が減少し、満腹中枢への作用低下より満腹感も生じなくなります。その一方で、食欲を高めるグレリンが増加します。

   職場の同僚で、夜遅くまで残業して朝の表情もすっきりしない方は、太っている場合が多い、という状況はないでしょうか。

単身赴任で体重が10キロ増えた人も

   ストレスがアルコールを含む食生活を乱し、肥満につながるケースもよく見られます。たとえばサラリーマン特有の問題として、単身赴任が引き起こす肥満というものがあります。

   家族を置いてひとり、慣れない任地に赴くお父さんの中には、毎日真っ暗な部屋に帰宅する生活を寂しく思い、居酒屋通いが続く人も少なくありません。ひとりお酒を飲むことが中心となる夕食で酔うままに、布団に倒れこむ生活が続き、1年で体重が10キロ以上増えたという方もいます。

   単身赴任に限らず、毎晩の居酒屋通いが完全に習慣化し、ストレスをアルコールで紛らわせながら肥満に向かっていくという流れの人もいます。

   対処のポイントの第一歩は、ストレスや睡眠不足によって、食欲が増加したり脂肪や糖質の多いものが食べたくなるという「身体のメカニズム」を心の隅に止めておくことでしょうか。

   秋の夜長に居酒屋通いはほどほどに、ひと駅歩いて帰ってみましょう。年末年始、忘年会のシーズンは、すぐそこまで来ています。


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今回の筆者:林 美貴子(はやし・みきこ) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科産業精神医学・宇宙医学グループ所属。保健師、看護師。知的労働者のメンタルヘルスや健康管理・健康支援を研究テーマとして医学博士を取得。健康保険組合や外資系企業の人事・健康管理部門を歴任し、実経験を踏まえた視点で研究・調査を行う。

筑波大学大学院・松崎一葉研究室
高度知的産業に従事する労働者のメンタルヘルスに関する研究を行い、その成果を広く社会還元することを目指している。正式名称は筑波大学大学院人間総合科学研究科 産業精神医学・宇宙医学グループ。グループ長は松崎一葉教授(写真)。患者さんを治療する臨床医学的な視点だけではなく、未然に予防する方策を社会に提案し続けている。特種な過酷条件下で働く宇宙飛行士の精神心理面での支援も行っている。松崎教授の近著に『会社で心を病むということ』(東洋経済新報社)、『もし部下がうつになったら』(ディスカバー携書)。
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