2024年 4月 26日 (金)

組織で働く人が果たすべき「3つの責務」

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   彼女や奥さんから三行半を突きつけられるとき、「あなたとは価値観が違います。もうやっていけません!」という言葉が使われることがあります。価値観とは「ものごとの優先順位」のことですが、お互いの利害が合わなくなったことを決定づけるのに適した言い回しかもしれません。

   この「価値観の違い」という言葉が、男女間だけでなく職場でも聞かれるようになったといいます。ある広告代理店に勤める入社10年目のDさんによると、最近いろいろなことで後輩社員たちとの「価値観の違い」に直面する場面が生じてきたといいます。

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いまの若手に「いいからやれ」は通用しない

   これまでDさんの会社では、入社3年未満の社員は、平日は基本的にいつでも残業指示を受けられるようにしておき、始業1時間前には出社して自分の仕事の準備をしたり、早出した先輩の補助をしたりすることになっていたそうです。

   また、会議の際の招集連絡や、議事録の作成と配付、お茶やお弁当の手配などは、新人たちが分担して行うことになっていました。

   ところが、ここ数年入社してきた新人からは、

「なぜ私たちがやらなければならないんですか」
「それは先輩たちがやった方が効率的だと思います」

などと言われることが増えたのだそうです。

   彼らだけでなく、入社5~6年の社員からも「自分は自分の仕事をやっている」「なぜ後輩の面倒を見なければならないのか」と言われる始末。

   もちろん、Dさん自身も若いころに面倒だと思ったことがなかったわけではありません。自分たちが「いいからやれ」「文句いうな」と叱られることを恐れたり、協調性がないとみなされたくなかったりして、仕方なく従ってきました。

   しかし、いまとなってはそれぞれの仕事の意味を理解し、経験することの重要性を認識しているつもりです。ただ、説明の仕方をあまり考えてこなかったので、新人たちから反論されても、「みんなやってきたんだから」以外の説明が思い浮かばないというのです。

「組織の目標」は最低限共有すべし

   確かに今は時代の過渡期なのかもしれません。であれば、新人社員と中堅社員、それに経営者が最低限共有しておかなければならない「価値観」や、それに基づく「責務」があるということを、あらためて確認しておくことが必要でしょう。

   それが組織で働くということであり、フリーランスや時給で働くアルバイトとは異なることです(もしかするとアルバイトの方がよく考えている職場もあるのかもしれませんが)。

   果たすべき責務の1つめは、「組織が掲げる目標を共有すること」です。会社で働く人それぞれの動機は、お金や名誉、ひまつぶしなど、それぞれ異なるかもしれません。

   しかし、給与を受け取っている限り、組織の目標達成のために働いている点は外せません。現在の雇用契約には労働時間と給与くらいしか書かれていませんが、今後はこのことも書いておくべきかもしれません。

   2つめは、共有した目標達成のために「個々人が与えられた役割を十分に果たすこと」です。その内容は明確に指示された仕事だけでなく、各構成員が全体を見渡して自分でやった方がよいことを自発的に行うことも含みます。

   営業部門で考えると、メンバーは自分の売り上げノルマを達成するとともに、先輩は後輩の指導をし、後輩は組織を先導する先輩のサポートをすべきです。

「自ら成長すること」も組織人の責務

   3つめは、「組織で働く人は成長し続けなければならないこと」です。組織は世代交代をしながら存続、発展していきます。「私だけは成長したくない」というわけにはいかず、自ら成長する責務があるわけです。

   終身雇用の崩壊などを言い訳に、「会社が将来を保証してくれるとは限らない」といって自分の動機だけを優先する人は、組織で働く資格はありません。自らの役割を主体的に見出さず成長を拒む人は、組織にぶら下がって資産を食い潰しているにすぎません。

   一方、従来は「構成員の価値観が揃っている組織ほど強い力を発揮する」と言われてきましたが、先行き不透明な時代には、むしろ多様な価値観を活かして、組織の力としていくことも必要でしょう。

   今後は「肝心なところは押さえつつ、それ以外は個々の自由に任せる」というマネジメントが必要なのかもしれません。しかしそれも、前述の価値観、責務をきちんと果たした上でのことです。

   これらのことを十分理解していれば、当番制も後輩の面倒も、自分のノルマ達成と同様に必要な仕事だということがわかるはずです。

   少し手間かもしれませんが、これまで当たり前に引き継がれてきたことに疑問を突きつけられたときには、ベテラン社員たちが暗黙の了解としている「3つの責務」を説明する場面が必要なのかもしれません。

   もちろん、これに当てはめて必要のないことや、合理的でないやり方については、見直すべきなのは言うまでもありません。

高城幸司

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高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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