2019年 11月 12日 (火)

「うつになった経験」を生かせる職場づくりをしよう

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   仕事上、多くの会社の人事担当者とお話しする機会があります。その中で、最近の新入社員について「どこか幼い」「ストレスに弱い」「人間関係の摩擦に耐えられない」という言葉を聞くことが多いのが事実です。

   「入社何か月経っても学生気分が抜け切らない」と嘆く担当者もいます。もちろん個人差はありますし、先輩たちにも頼りない人たちがいるのは承知しています。しかし、それでも「未熟」な若者が増えているという傾向はあるのではないかという気がしています。

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集団内の葛藤体験に慣れていない「今どきの若者」

直ちに「使えない子」と考えるのは早計だが
直ちに「使えない子」と考えるのは早計だが

   一方、臨床の場面において最近問題になっているのが「未熟型うつ」の存在です。職場の些細なストレスがきっかけで気持ちが落ち込み、意欲が出なくなり、会社に来られなくなってしまうケースです。

   専門的には「ディスチミア親和性うつ病」と呼ばれ、最近の20代~30代に多いことが明らかになっています。

   病院に行けば「うつ状態」と診断され、療養を指示されるものの、「ストレスから離れて自分の好きなことをしながらゆっくりしなさい」という主治医の助言には忠実に従うことができ、趣味的なことはいつも通り楽しむことができる。

   傍から見ると病気で休みが必要な状態とは思えず、「本当に休職が必要なのか」「単なるワガママなのでは」と感じてしまう社員が増加しているのです。

   このような社員の増加には、今どきの若い人たちを取り巻く歴史的、社会的背景があると思われます。たとえば以前の子どもたちは、大勢の集団の中で仲間はずれにされないために、たびたび我慢を強いられ、他人と折り合いを付けていくことを学んでいきました。

   しかし、少子化やそれに伴う親の養育態様の変化により、子どもたちは保護的な環境下に置かれるようになり、集団内の葛藤体験などを経験することのないまま社会に出てくることが増えたのでは、と考えられます。

最近の若手社員に不満を感じますか?
いいえ。むしろ優秀
以前とそう変わりはない
不満を感じることが多い
接する機会が少なく分からない
筑波大学大学院・松崎一葉研究室
高度知的産業に従事する労働者のメンタルヘルスに関する研究を行い、その成果を広く社会還元することを目指している。正式名称は筑波大学大学院人間総合科学研究科 産業精神医学・宇宙医学グループ。グループ長は松崎一葉教授(写真)。患者さんを治療する臨床医学的な視点だけではなく、未然に予防する方策を社会に提案し続けている。特種な過酷条件下で働く宇宙飛行士の精神心理面での支援も行っている。松崎教授の近著に『会社で心を病むということ』(東洋経済新報社)、『もし部下がうつになったら』(ディスカバー携書)。
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