2024年 4月 19日 (金)

「ボランティア休暇」大手企業が導入 取得は進むのか

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   東日本大震災の被災地で、復旧作業を手伝うスタッフが不足している。これを受けて、大手を中心に「ボランティア休暇」を新たに設けたり、日数を拡充したりする会社が増えているようだ。

   企業の社会的責任を果たす活動として大いに歓迎されるべきものだが、現実には仕事を何日も休める人は多くなく、休暇取得は順調に進んでいるとはいえないようだ。

参加者はわずか、仕事の調整は個人まかせ

   下着大手のワコールは11年8月末まで、1人につき1回、最大20日間の特別有給休暇制度を新設した。ボランティア活動への従事者に対し、通常の有給休暇とは別に付与される。同じく下着大手のトリンプでも9月末まで最大2週間、分割取得も可能な特別休暇制度を新たに設けている。

   証券大手のSMBC日興証券は12年3月末までの限定で、3日間の特別有給休暇を設定。商社大手の三井物産は、これまで年5日間だったボランティア休暇を10日間に拡充している。自動車の富士重工業は1回につき最大10日間、年2回まで取得可能なボランティア休暇を新設し、最初の5日間までは有給とする。

   取得期限を過ぎてしまった有給休暇を、ボランティアなどに利用できる制度を設ける会社もある。住友電工では年間最大10日間、村田製作所では20日間、堀場製作所では40日間、富士ゼロックスでは60日間を、期限切れの「積立休暇」から使うことができる。

   ただし、ほとんどの会社では過去にボランティア休暇を取得した社員は「年に1人か、多くても数人」というのが現状。いずれの会社にも共通するのは、

「ボランティア活動への参加を希望する人に対して、制度を使えるようにしておくが、積極的に休暇を取得するよう促しているものではない」

というスタンスだ。

   上記の企業のうち、申請者が例外的に多い富士ゼロックスでは09年にのべ30名、SMBC日興証券では震災後に10数人の申請を受け付けたが、いずれも「業務に支障がない範囲でやってもらうための調整は、個々人に任せている」という。

被災地は「社会人の参加」に期待

   一方、被災地ではボランティアスタッフの不足に悩んでいる。仙台復興支援団体たすくの渡部翔太氏によると、5月の連休が終わって学生が学校に戻るため、スタッフが不足しており、社会人スタッフの参加を歓迎しているという。

「参加期間が数日と短かったり、まとまった人数がいるような場合には通常の『作業スタッフ』として、期間が長く取れる人にはボランティアセンターなどの『内部運営スタッフ』として、参加をお願いしたいですね。大手企業の社員で長期休暇が取れる方には、ぜひ運営を引き受けていただきたい」

   寝袋持参で野宿する人もいるが、ボランティア用の宿舎を確保しているところもあるので、各自治体の災害対策本部や社会福祉協議会に事前に相談して欲しいとのこと。

   とはいえ、長期休暇を取得するためには、個人での仕事の調整だけでは難しい部分もある。利用者が少なければ、立派な制度も「ポーズ」になってしまいかねない。部署ごとの目標を立てるなどして、仕事の調整に配慮する会社が出てきてもよいのではないだろうか。

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