世界にはユニクロ以外の「答え」がある 労働者の視点も忘れるな
~『ユニクロ帝国の光と影』著者・横田増生氏に聞く~

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   かつてアマゾンジャパンの物流倉庫にアルバイトとして入り込み、知られざる労働環境の実態を『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』(朝日文庫)で初めて明らかにした、フリージャーナリストの横田増生氏。今回のターゲットは、日本の勝ち組企業の代表であるファーストリテイリング(以下ユニクロ)と、それを率いる「カリスマ経営者」柳井正社長だ。

   2011年3月に発行された『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋)は3万部を超える勢いで、企業ノンフィクションとして久しぶりのヒット作となった。取材を通じた感想などについて、著者に話を聞いた。

独自取材で分かった「中国工場の長時間労働」

横田増生氏。1965年、福岡県生まれ。関西学院大学卒業後、予備校講師を経て米アイオワ大学大学院を卒業。物流業界紙で編集長を務めた後、フリーのジャーナリストとなる
横田増生氏。1965年、福岡県生まれ。関西学院大学卒業後、予備校講師を経て米アイオワ大学大学院を卒業。物流業界紙で編集長を務めた後、フリーのジャーナリストとなる

――前著で取り上げたアマゾンと今回のユニクロでは、どういう違いがありましたか

横田 アマゾンは徹底した秘密主義で、情報がほとんど外に出ておらず、潜入という手法から始めざるを得ませんでした。一方のユニクロは、柳井さんの著書や企業研究など「ユニクロ本」が数多くありますし、新聞や雑誌の記事などを含めると非常に多くの情報があふれています。その点が異なりますね。
   しかし、外に出ている情報だけでユニクロの姿がすべて見えるかと言うと、必ずしもそうではない。本や資料を読んでみると肝心の知りたいところが書かれてないところもあり、会社として見せたい部分しか見せていない感じがします。間違った情報は流してないけれど、現在のパブリックイメージは一面的だという気がします。

――どういう側面が明らかになっていなかったのでしょうか

横田 物流を含むビジネスのシステム全般ですが、特に中国の工場に関することですね。柳井さんに1度だけ直接インタビューできたのですが、プライベートのことを含めて色々と話をしてくれる、穏やかで気さくな方なんですよ。しかし、中国の工場を見せて欲しいとお願いすると、「それは絶対にダメ」と非常に厳しい表情になった。経営者としての厳しい顔を垣間見た気がしました。
   「米流通最大手のウォルマートやスペインのアパレル会社ZARAでも、現場を見せてくれます」と粘ってはみましたが、それでも応じてくれなかった。広報も柳井さんの意向を受けて、非常にガードが固いです。一部の大手マスコミには工場名などを明かさないなどの条件をつけて工場を取材させているようなのですが。

――そこで、独自に中国の生産工場を探し当てて取材したのですね

横田 取材先を見つけるのに1か月くらいかかり、2週間かけて現地取材をしました。取材の事前の申込では何社も断られて、結局は2社しか事前にOKをもらえず、あとは飛び込み取材でした。運よくモデル工場のひとつが取材に応じてくれて、ユニクロからの厳しい要求に対する不満を聞くことができました。
   その工場では欧米の一流メーカーからの仕事も請け負っているのですが、他社が長時間労働をさせないよう厳しく労務管理をさせているのに対し、ユニクロは厳しい品質や納期を優先させる。ときには徹夜でアイロンがけをせざるを得ないこともあったと聞きました。利益もユニクロの仕事からは上がらず、他社から上げていると言っていました。
   もちろん、発注量は大量だし不当な値引きはしないし、支払い期限は守ってくれるしと、工場にとって好条件もあるから応じるわけですが。ユニクロが直接強制していない部分もあるかもしれないし、労働現場をチェックする難しさもあるけれど、実態としては問題があるように思えました。広報は否定していますが、私は実地で確認していますから。
横田増生:ユニクロ帝国の光と影
横田増生:ユニクロ帝国の光と影
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,500
  • 発売日: 2011/03/23
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