2019年 5月 23日 (木)

グーグルには「社内哲学者」という役職がある

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   デイモン・ホロウィッツは、もともとAI(人工知能)の専門家であった。ある時プログラムについて考えていた彼は、どうしても越えられない壁があることを感じた。

「結局、人間の頭の中を理解することが必要なのではないか、私はそう思った。…そこで人間の思考の仕組み、言語の構造、意味の背景について考えるようになった」(「The Chronicle」ウェブ版2011年7月11日付けより)

とことん考えて生まれるイノベーション

   彼は大学に戻り、哲学を学んだ。その結果、

「コンピュータで数量解析ばかりしても、人間の幅広い認識活動を把握することはできないことを悟った。技術至上主義の世界観を捨てることで、まったく新しい発想が生まれるようになった」

   その後ホロウィッツが設立したアードヴァーク社は、多数の人間の知恵を結び付ける方式の新しい検索エンジンを開発した。グーグル社がその独創性に注目し、同社を買収。ホロウィッツはグーグルに「社内哲学者(インハウス・フィロソファー)」として入社した。

   これは、自分の頭で考え抜くことの大切さを教えてくれるエピソードだと思う。とことん考えることで発想が湧き、イノベーションが生まれる。

   何もグーグルや人工知能だけの問題ではない。現代はおよそどんなビジネスでも、ソフトウェアが雌雄を決する時代である。自動車や電機のような「製造業」だって例外ではない。

   アップル社の株式時価総額が25兆円あり、日本の大手電機メーカーがすべてその10分の1以下なのもソフトの力の差だ。物事を本質に立ち返ってじっくり考えることの重要性は、強調しすぎることはないだろう。

   西欧人からこんな風に言われることがある。

「日本人と話しても、その人がどういう主義主張なのか良くわからない。日本発で世界に通用するようなオリジナルな思想もないようだ。日本人は物事を深く考えることのない現実主義者なのか?」

   確かに多くの日本人は、自分の頭で考える習慣を持っていないようにみえる。大きな判断は他人にゆだね、それで結果的に誤ったら「自分が悪いのではなく、××のせいだ」と考える。

小田切尚登
経済アナリスト。明治大学グローバル研究大学院兼任講師。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ等の外資系金融機関で株式アナリスト、投資銀行部門などを歴任した。近著に『欧米沈没』(マイナビ新書)
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