2024年 3月 29日 (金)

「営業のやり方」って、どうやって教えたらいいの?

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   スタジオ02の大関です。今回は、コメント欄に寄せられた悩みにお答えしましょう。

Q:中小企業の営業で、教育係に任命されました。このご時勢なので研修も受けさせる余裕もなく、4月入社の新入社員を7月から営業に出しています。会社は早く戦力化したくて焦っていますが、OJTもうまくいきません。まだ1か月ですが、かなり悩んでいます。(「営業を教えるってどうしたら?」さん)

「放任」では業績伸びず、離職率上がる

「このご時勢」はやるべきことをやらない言い訳
「このご時勢」はやるべきことをやらない言い訳

A:新人に何を教えればいいのかが、はっきりしていないのかもしれませんね。個性を尊重するにも、まずは基本を真似ることからです。

   飛び込み営業で飲食店向けツール販売をおこなうA社から、同様の相談を受けたときの経験をお話ししましょう。そのときの相談は、次のようなものでした。

「入社1年未満の営業担当者の成績に、かなりバラツキがある。成績低迷者の離職率も高く、中途採用コストがかさむので困る。なんとか全体成績の底上げと、離職率の改善が図れないものか」

   私はさっそく専門部隊とともにコンサルティング・チームを組み、ひと月以上かけて社内外の関係者にヒアリングを行い、行動観察を実施しました。その結果、いくつかの問題点が浮かび上がってきました。

(1) 入社時の研修は「業界実態」「商品知識」「事務取扱」を中心とした3日間の集合座学研修のみだった
(2) 好成績者は、面倒見の良い先輩や上司に恵まれ、成績優秀者のやり方をまねていた。一方、低成績者が多く離職率が高い営業所は「放任スタイル」が主流を占めていた
(3) 退職者は、成績が上がらなくとも具体的指導もないまま「しっかりやれ」「何をやっている」という叱咤ばかりで嫌気がさし、短期間で辞めた者が大半だった

   入社時研修について人事担当にヒアリングしたところ、「当社は中途採用者がほとんどで、営業経験と実績のある即戦力だけを採っているので、業界特有の知識研修のみで十分」と考えていたと答えてくれました。

   しかし業界が違えば、営業のスタイルはおのずと変わりますし、近いように見える業界でも、営業に関しては各社固有のノウハウがあるものです。

ベテランのやり方分析し「標準」作る

   そこで私たちは、研修のあり方を変えることから着手しました。好成績者の営業ノウハウを共有化するためにベテラン優秀成績者を本部に異動させ、彼のやり方を徹底的に分析することにしました。

   営業部門はベテランの引き抜きにかなり抵抗しましたが、彼からアポ取り、訪問準備、応酬話法、クロージングなどのやり方を聞き、自社の営業スタンダードとなる「営業マニュアル」を作成したのです。

   スタンダードができれば、あとはそれを徹底するのみ。入社時研修はもとより、管理者による初心者指導も「放任」を改めるべく、すべてこのマニュアルを基本とすることに決め、まずは管理者向けの実践指導を実施しました。

   管理者がノウハウをマスターしたところで、彼らが現場で手本を示します。同行訪問で担当者は「見る」状態を3カ月続け、とにかく「見せて見せて」身につけさせました。

   子どもが食べたり話をしたり、歩いたりできるようになるのも、「聞いて」→「見て」→「経験して」学ぶものです。営業の初心者教育でも同じ手順が大切なのですが、どうも最初の「見て学ぶ」の部分を管理者がおろそかにしてしまいがちなのです。

   A社では、転職新人教育にこの方法を導入してから半年後には、中途採用者の離職率が3分の1に改善、1年後には入社1年未満営業担当者の1人あたりの獲得実績が、前年比1.5倍にレベルアップしました。ぜひ参考にしてください。

※営業を中心としたお仕事の悩みについて、筆者がお答えします。

大関 暁夫

>>営業は難しい~ココを直せばうまくいく!・記事一覧

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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