職場にも「フェイスブック」の魔の手が及んできた

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   仕事に電子メールが不可欠となって久しいが、グループで情報やデータを共有して共同作業をするには、必ずしも使い勝手のいいツールとはいえない。

   そこで注目されているのが、SNSの業務での活用だ。都内のIT企業に勤める30代男性のAさんは、上司の指示でフェイスブックを業務に使い始めたという。「情報共有の効率アップ」がねらいだ。

上司の呼びかけに競って「いいね!」押し合う

便利なようで便利じゃなかった!
便利なようで便利じゃなかった!

   Aさんの職場で主に活用しているのは、フェイスブックの「グループ」という機能。特定の「友達」だけで情報を共有でき、文章だけでなくデータファイルや画像も共有できる。

   いつでもメンバーの追加や削除ができるので、途中から議論に参加したメンバーも、過去の経緯を確認し、ファイルを再利用することができる。

   メッセージの送付も簡単で、チャットも使える。フェイスブック内で業務を完結できそうな勢いだ。なるほど、メールの使い勝手の悪さをカバーしてあまりある――。Aさんは当初そう感じていた。

   しかし運用直後から、Aさんはフェイスブックにかかりきりになってしまった。上司が「業務の可視化」をうたって、報告・連絡・相談を原則フェイスブック上で一本化するように指示したからだ。

「○○君の売上表、まだ更新されてないんだけど」
「この資料の数字、ちゃんとしたロジックを聞きたいな」
「売り上げ達成見込み、見直したほうがよくない?」

   Aさんたち部下は、上司の書き込みを常にチェックし、リアルタイムにコメントを入れていかなければならない。「来月は稼働日数が少ないから、前半の達成率を上げていこう」といった書き込みには、競って「いいね!」を押し合っている。

   いちばん辛いのは、他のメンバーも見ているので「やり過ごし」ができないことだ。

「こっちにだって仕事の優先順位があるのにね。メールのときは、大事な用件にしか返事しないこともできた。でもいまは、他の同僚がコメントしてると、自分だけ反応してないのが目立っちゃって…」

「対面や電話の方が明らかに早いのに」

   悪いことに、フェイスブックの「業務活用」は、この上司だけではない。どうやら全社的な管理職会議で「IT業務革新」が呼びかけられ、さまざまな部署が手っ取り早く「グループ」を新設しているようなのだ。

   気がつけばAさんは、自部門の「マーケティング」グループのほか、「○○全社」「SNS活用プロジェクト」「社内報編集委員会」のグループにも追加されてしまった。

「4つのグループ全部で、毎日頻繁に更新が入るんですよ。報告書をアップし、お客さんと話をした後にスマートフォンを見ると、更新が10以上入っていることもある。どう考えたって対面や電話の方が早いものも多いのに。まあ、会社でパソコンの前に座ってるのは暇な人たちが多いからね」

   部下の報告にチェックやダメ出しをしているだけの上司なんて、要らないじゃないか…。Aさんはもう「いいね!」を押し損ねても、どうでもいいと思い始めている。

   もちろんフェイスブックには、高校や大学時代からの「本当の友達」が、レジャーに興じる写真をアップすることもある。それを見るたびAさんは、仕事の息抜きの「逃げ場所」にフェイスブックを使っていたころを懐かしく思い出すそうだ。

池田園子

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