通販サイトにはできない「カットイン」のコツ――勝ち残るリアル営業(2)

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   前回の「予備調査の収集」に続いて、今回は「カットイン(切り込み)」のステップについて解説します。カットインとは、リアル営業において自己紹介などで相手に話しかけることをきっかけに、相手の懐に入り込むことを指します。

   私の経験から言えば、効果的なカットインができている人は、業種を問わず例外なく優秀な営業マンですが、実際に出会うことは本当に少ないです。最近営業をかけてくるネット系の代理店やIT系のSP会社の若手で、カットインがしっかりできている例はほぼ皆無で、そんな会社の将来は暗いなと思わされることがしばしばです。

「御社に関心」「手当たり次第ではない」と伝える

   カットインのポイントは、ズバリ「信用供与」行動。初動でいかに自分に対する信頼感、親近感を持ってもらえるかが勝負です。基本的なステップですが、これができるかどうかが伸びる営業への大きな別れ道になります。

   カットインに必要な要素は、まずは「あいさつ」と「自己紹介」です。しかし、

「こんにちは、はじめまして。○○株式会社のAといいます。××な商品を売っています」

では誰も取引してくれません。「カット」にはなっても「イン」には至っていないからです。

   では、どのように懐に入るのか。その基本は「相手を気持ちよくさせること」に尽きます。とはいえ、初対面でいきなり知らない人間から、やたらと褒めまくられたところで、むしろ相手は警戒心を強くするだけです。ものには順序というものがあるのです。

   まずは「私は御社を知っていますよ」「御社に関心がありますよ」ということを、それとなく上手に伝えることです。ここで前回の「予備調査」が活きてきます。

「ホームページを拝見したのですが、御社は○○の製造をされているそうですね。お取引先は大手の△△産業さんと聞いていますけど、商品の信頼が高くないとなかなかお取引できない相手ですよね。いやぁ、すごいですね」

   「知っていますよ」の後にさりげなく「ほめ」を入れるのもポイントです。人は、自分に関心を持ち、自分のことを知っている相手には悪い気はしません。少なくとも「どこでもいいから手当たり次第に売り込んでやれ」というスタンスではないように受け取られるわけです。

   「あなたの会社を知った上で、私なりに選んでおうかがいしています」という意図が伝わり、「こいつと話していると気分がいいな」と思わせてしまえばこっちのもの。少しずついろいろな話が聞きだせること請け合いで、まずは第一関門突破と相成るわけです。

リアル営業なら「ヒアリング」につなげられる

   また、予備調査として「取引履歴の洗い出し」を行い、過去に取引をしたことがある場合には、「以前に○○のお手伝いをさせていただいたことがあるのですが」と切り出すことも、相手に親近感を持たせる近道になります。

   営業戦術において、どこの企業でもできる「過去に取引があった先の復活折衝をしよう」というキャンペーンの実行が、全くの新規開拓よりも効果的なのは、こんな理由によるところが大きいのです。

   ネット通販においては、取引履歴を基に「おすすめ商品の提示」をするところがあります。この機能はある意味で相手の懐に入り込むネットのカットイン的試みですが、初めての訪問者には機能しませんし、「○○がお好きなようですね」→「ではこれはいかがですか?」というあくまでセールスの場を離れられない提案しかできないのも弱点です。

   リアル営業においては、必ずしもセールスにとらわれない自由な切り口の話題で相手の懐に入り込み、次のステップである「ヒアリング」によるニーズの掘り起しにつなげることができれば、ネット営業とは一味違う優位性を表せる場になります。

   逆に言えば、このステップがうまくいかなければ、ネットとの価格競争に巻き込まれて負けてしまうおそれが高くなるということです。

   なお、相手が個人の場合には少々事情が違います。本人のことをあまり詳しく知りすぎていると、ストーカー的でむしろ気持ち悪がられます。誰でも知りえる周囲の住環境や前庭の木々、駐車場に止めている車などをさらりとほめ、相手を気持ちよくさせることあたりから始めるのがいいでしょう。


大関 暁夫

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大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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