2024年 4月 26日 (金)

日本の経済戦略を考える「電力需給モデル」の作り方

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

原発停止によって、どこにどんな影響があらわれるのか

   発電単価は、低い方から原子力、石炭、天然ガス、石油となるのが一般的だ。原子力発電所を止めれば、低い階段をなくして高い階段から始まることになる。

   需要曲線の左側にある階段の面積が増えれば、コストはあがる。日本の電力料金制度はコストが上がった分を価格に反映することになっているので、そのまま利用者の負担になる。

   日本における電力消費は、家庭用が3割、オフィスやスーパー、病院などが2割強ほどになる。こうした個人や法人は生活に密着しているので、電力料金があがっても海外に移るということにはなかなかならない。

   一方、4割以上を占めるとみられる製造業は、日本のGDPの2割弱を占めていることを考えると、その集中度は高い。電気料金が安い海外への移転も起きやすい。前回提示した仮説のように企業の海外流出が日本経済にとってプラス効果であれば、少しは安堵できる。

   さらに、原発の代わりに火力発電所を動かせば化石燃料の輸入額が増大する。これが日本の経常収支を悪化させ、国債金利、ひいては企業の貸出金利にマイナスの影響を与えるおそれがある。

   何がどうなったら、どこにどんな影響があらわれるのか。100%確実に分かる経済モデルにはならないだろうが、モデルを組み立てることで、より客観的な議論を進めることができるのではないだろうか。(大庫直樹)

大庫直樹(おおご・なおき)
1962年東京生まれ。東京大学理学部数学科卒。20年間にわたりマッキンゼーでコンサルティングに従事。東京、ストックホルム、ソウル・オフィスに所属。99年からはパートナーとして銀行からノンバンクまであらゆる業態の金融機関の経営改革に携わる。2005年GEに転じ、08年独立しルートエフを設立、代表取締役(現職)。09~11年大阪府特別参与、11年よりプライスウォーターハウスクーパース常務執行役員(現職)。著書に『あしたのための「銀行学」入門』 (PHPビジネス新書)、『あした ゆたかに なあれ―パパの休日の経済学』(世界文化社)など。
姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中