フェラーリをデザインした日本人が語る「若者のキャリアアップの勘違い」

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   お金が先か、やる気が先か――。待遇とモチベーションの関係については、さまざまな意見がある。社員が「こんな給料ではやる気が出ない」といえば、経営者は「やる気を出してもらわなければ払えない」と応える。

   この疑問を解くひとつの鍵のような記事が、ネットで注目を集めている。国際的な活躍をするインダストリアルデザイナー、奥山清行氏の講演録だ。

契約社会では「得たものより与えたものが多い」のが重要

「もらった分しか働かないのが契約」と思いがちだが
「もらった分しか働かないのが契約」と思いがちだが

   掲載しているのは、2011年9月8日付けの「GIGAZINE」。奥山氏は「イタリア人以外で初めてフェラーリをデザインした男」として有名で、日本の新幹線や地下鉄、家具やメガネ、腕時計などのデザインにも関わっている。

   講演録は2万8000字にものぼる長大なものだが、フェイスブックの「いいね!」は7600を超え、公開10か月経っても発言の引用がさまざまな形でネット上を巡っている。

「自分が考えていることを、その場で決められた時間の中で他の人とシェアしないのはプロとして犯罪に近い」

など、ビジネスパーソンに刺激的な言葉とともに、奥山氏の経験に基づく「キャリアアップ」についての考えが述べられている。

「若い人が特に勘違いしているのは、自分は会社とか仕事から得るものだけ得て、一番得た時点で次のステップに移っていくのがキャリアアップである、と」

   奥山氏によれば、日本の若者たちは、会社に与えたものより得たものの方が多い段階で飛び出そうとするが、欧米の契約社会では「得たものよりも与えたものの方が多いこと」が大切であり、非常に重要な考えになっている。

   相手からもらったものより、自分が与えたものの方が多い場合に「この人間は優秀である」という名声が広がり、それを次の仕事につなげるのが「実はプロとして非常に大切なこと」だというのだ。

報酬を上回る貢献ができているかどうか

   確かに若者の中には、入社数年の見習いで退社したはずなのに、成果も上げぬまま「元大手企業社員」のブランドで転職したり独立したりする人も見受けられる。欧米では、この手の「キャリアアップ」は通用しないということなのだろう。

   そうではなく、会社から吸収したものをその会社で発揮し、ときには報酬を上回るような貢献を果たしてから次のステップに移ることが大事ということだ。似ているようで、だいぶ違う世界である。

   この視点からすれば、「お金が先か、やる気が先か」と問われれば、やる気が先に立たざるを得ないという結論になりそうだ。

   仕事で成果を上げ、給料よりも高い価値を会社に与えれば、会社はその人材を引き止めたいと考えるようになるし、それに見合った報酬を与えられなければ、他社に引き抜かれても仕方がない。

   フリーランスであっても、報酬を上回る価値を提供することによって、発注元との交渉力が上がったり、他の発注元からおいしい仕事を取れるようになったりするだろう。転職や独立を考える人のヒントになるのではないか。

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