2024年 4月 25日 (木)

有名大学教授の収賄容疑 架空売上と「預け金」の手口

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肩書や実績だけでなく、本人の倫理観を冷静に見極める

   預け金による研究費不正は過去にも多数発覚しており、K大学、文部科学省、そして会計検査院もそのリスクは十分に認識していたはずである。しかしTの周辺では、その道の権威であるセンター長に対して、部下はもちろん大学側もうるさいことを言えなかったのではないだろうか。

   再発防止に向けてまず必要なことは、事実関係を徹底的に究明し、不正への関与者を厳正に処分して、「不正は一切許さない」姿勢を改めて世に示すことである。

   T元教授は最先端医療の発展に欠かせない有能な人物なのであろう。しかし、公金を私物化した罪に手心を加えるようなことは絶対にあってはならない。M社の債権者リストには、複数の大学名が浮上しており、それらの実態究明も不可欠だ。さらに、

・外部人材を要職に採用する際は、肩書や実績だけでなく、本人の誠実性や倫理観を冷静に見極める
・競争入札の徹底等により、業者への発注権限を一人に集中させない
・発注プロセスに関わる者の人事異動を適切な間隔で実施し、固定化を防ぐ
・監査等による入札・発注・納入・支払プロセスのモニタリングを強化する。特に抜き打ちによるチェックを有効活用する
・納入業者の従業員も利用できる内部通報制度を整備し、不正疑惑情報の収集力を高める

といった内部統制の基本を、形だけでなく実質的に運用することで、業者との癒着を防ぐ取組みも欠かせない。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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