2020年 10月 1日 (木)

入社半月の社員が「蒸発」 ケータイ通じず、自宅にも帰らない

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   「雇用流動化」の必要性が訴えられているが、それにより会社の負担も増えることが予想される。人の出入りのたびに求人、採用や教育、退職手続きの手間が増えるし、中途入社する社員の「身体検査」にも神経を使うようになる。

   ある会社では、期待の業界経験者が、わずか入社半年で姿を消してしまった。すでに任せていたクライアントからはクレームが相次ぎ、社長は「探し出して損害賠償しろ」と言い出して、担当者は頭を抱えている。

「謝罪とリカバーにかかった費用を全額請求しろ」

――広告会社の総務です。今月に入社したばかりのAさんが、無断欠勤を続けています。正確には、入社半月ほどで「蒸発」してしまいました。

   自宅やケータイに何度も電話していますが、つながりません。仕方がないので、さっさと解雇しようと思ったのですが、そうもいかないのです。

   Aさんは業界経験者だったので、すぐに数社のクライアントを任せました。蒸発した翌日、2件のクライアントからクレーム電話があり、ともにAさんの営業に問題があったようです。

「新しいAさん、お願いしたことをちゃんとやってくれないんですよ。あんな人を担当にするなら、御社との取引は考えさせてもらいますね」
「この間発注した広告に記載漏れがあってさ。こっちから連絡しても返事がないし、いったいどうしてくれるんですか」

   すぐに部長が謝罪に行って、大事にはならずに済みそうですが、広告の記載漏れについては当社負担での再出広を約束せざるを得ませんでした。これを知った社長は、

「何としてでもAさんを探し出して、損害賠償を請求しなきゃダメだな。謝罪とリカバーにかかった費用を全額請求する準備をしてくれ。それから、すぐに懲戒解雇にして、半月分の給料は払わなくていいから」

   とはいえ、いまだに電話連絡も取れず、自宅にも帰っている形跡はありません。こういうときは、どうすればいいのでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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