月末にお客さまに「お願い」できる営業マンの条件

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   売り上げノルマ達成が厳しいときに、お客さまにお願いして「君に頼まれたら仕方がないな」と言っていただける関係ができている営業マンは、常に好成績をあげることができるのは事実です。

   しかし、勘違いしてはならないのは、自分の成績のために「お客さまが不要な商品やサービスでも押し売りすべき」と考えてはならないこと。注文の時期を迷っている場合や、何社も比較したけれどどこも同じで決め手がないと迷っている場合に、少し背中を押してあげる程度に済ませるべきです。

1回の「押し売り」が関係を壊してしまうことがある

   食品メーカーに勤務するAさんから聞いたのは、ある失敗談でした。取引先の担当者Bさんが大学の先輩だということに甘えて、営業に訪れたときのことでした。

「いま弊社では、春巻きのキャンペーンをやっておりまして、今月ご注文いただければ、もう1ケースつけます。なんとかお願いできませんか」

   春巻きは月内の売り上げ目標が厳しく、営業マンごとにノルマが示されていました。Aさんの成績はなかなか伸びませんでしたが、月末に残り数ケースになったところでBさんにお願いしにきたのでした。

   普段から世間話に花が咲く、友人のような関係。だから「仕方ないな。注文するよ」と応えてくれると思っていたのですが、意外な回答が返ってきました。

「いま改装を控えていて、在庫を減らしてるところなんだよね。それに、この春巻きはウチで人気がないから売り切る自信がない。他の売れ筋だったら、考えてもいいんだけど」

   しかし上司からハッパをかけられているAさんは、春巻きにこだわってお願いを繰り返しました。すると、Bさんの目が急に冷たくなり、「いらないと言っているのが分からないの? それでも言うならいいけど、1回限りだからね」と突き放すように注文を出してくれました。

   Aさんは粘った甲斐があったと、喜び勇んで上司に報告しました。ただ、その後に大変なしっぺ返しが待っていました。翌月になってBさんを訪ねると「今後は注文があれば連絡するから」とつれない返事。

   そして、「客がいらないという商品を押し売りする営業とは、もうつき合いたくないな」と言われてしまいました。その後は何回訪問しても、以前のような笑顔を二度と見せてくれることはなかったそうです。

「予算余り」のときに呼んでもらえる営業になる

   それまで一番頼りにしていた取引先は、必要なものを事務的に淡々と注文してくるだけの関係になってしまいました。「春巻きの営業」は、大きな代償を支払うことになったのです。

   このように、いくら取引先と関係が良好であっても、不要なものまで営業力で売り込むことはできません。それをやったら、お互いの信頼関係を壊すことになりかねないことを肝に銘じておきましょう。

   それでは、お客さまと人間関係を構築する営業マンは、日頃から何を心がけておくべきなのでしょうか。まず営業マンは次の3つの場合において、まっさきに声をかけていただける存在になることを目指すべきです。

・商品がどこも同じなので、誰に注文してもいい場合
・とにかく今すぐに商品が欲しい場合
・予算が余っていて、誰かに提案をして欲しい場合

   このような場合に呼んでもらえる営業は、笑顔やステキな服装や「何でもやります!」という勇ましい言葉よりも、「お客さまにとっての価値を第一に考え、話がキチンと聞けること」「適切な質問や主張ができること」「お客さまのために努力する姿勢を見せられること」が大事です。

   そのようなマインドがあって、必要なコミュニケーションができていれば、大学が一緒だとか趣味が同じだとかいうよりも強い関係を作ることができます。そして、こちらからのお願いも聞いてもらいやすくなるでしょう。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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