受身で精神的に弱いのは「ゆとり世代の特徴」といえるのか

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   日本印刷技術協会のウェブサイトに「ゆとり世代に対するコミュニケーションはどうしていますか?」というコラムが掲載されている。会員企業との情報交換で、ある管理職から「いまどきの若者」についてのこんなグチが出たのだという。

「入社2年目の社員を、とあることで叱った。自分でも後でグッタリするくらい、叱ったつもりなのに、数分後、当の本人が何事もなかったかのように、笑顔で話しかけてきて、あぜんとした」

図太い人もいれば、繊細な人もいる

昔の若者より真面目でマシなんじゃないの?
昔の若者より真面目でマシなんじゃないの?

   ストレス耐性が高いことは、サラリーマンとして重要なことだ。この社員はたくましいと言ってもよい。しかしこの管理職は社員に対し「コミュニケーションが成り立たない」とネガティブな印象を持っているようである。

   一方、こういう図太い若者が「ゆとり世代」の特徴かと思いきや、全体の調査では必ずしもそう言えない結果が出ている。

   HR総合調査研究所が329社の人事担当者を対象に行った調査によれば、ゆとり世代を「精神的に弱い」と答えた人が37%もいたという。「受身的である」(59%)や「まじめである」(58%)に次いで3位だ。

   果たして「ゆとり世代」は、精神的に強いのか、弱いのか――。結局、世代でひとくくりにして批判しても意味がないということだろう。鈍感な人もいれば、繊細な人もいる。

   それより当の管理職は、若者にどうなって欲しいのか。精神的に弱いことを問題視するのなら、叱られてもすぐに気持ちを切り替え、次のステップに前向きに進める方がずっと望ましいはずなのだが。

   ネットでは、若手社員を「受身的」と批判する管理職世代に対し、反撃ともいえる手厳しい批判の声も多く見られる。

「ゆとり世代と関係なさすぎでワロタ」
「ゆとりに文句垂れているオッサンたちこそ、元祖指示待ち世代のくせに、いまさら偉そうなことを言ってるんじゃないよ」

管理職は「元祖指示待ち」、社長は「しらけ族」

   現代用語の基礎知識によると、「指示待ち族」という流行語が登場したのは1981年。いまから約30年前のことだ。坂川山輝夫氏の造語で、1958年ころに生まれた世代を評した言葉だという。

   ということは、元祖「指示待ち族」は、現在55歳前後。いかにも管理職として「いまどきの若者」との世代ギャップが生じていそうな層だ。もしかすると、親子の関係にあると言えるのかもしれない。この親にして、この子あり。

   さらに、現在60代半ばの経営者層は、元祖「しらけ族」(1971年の流行語)。「無気力・無関心・無責任」の三無主義と、さんざん叩かれた世代だったはずだ。

   若者を対象とした調査結果を公表するときは、それが本当に「ゆとり世代」特有のものなのか、他の世代と比較してきちんと分析すべきだろう。巷に出ている調査結果は往々にして、単に「20代若者共通の特徴」だったりするのではないか。

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