稼げる人が「エビデンス」を要求される前に準備していること

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「エビ(デンス)を出してくれ」

   新しい企画を会議に提案すると、そんなことを言われることがあります。なぜその企画がうまくいくのか、確かな証拠を示せというのです。

   先行き不透明な時代、意思決定する人たちも「何らかの証拠=エビデンス」がないと判断できないのでしょう。しかし、先行きが分からないのは提案者も同じ。

「未来は私たちが作っていくものです。エビなんてありません」

   そう突っぱねることができれば楽なのですが、そうも行きません。「高い報酬を得てるんだから、不確かな情報の中でも決断してください」という主張も通らないでしょう。担当者が、いろんな角度から材料をかき集めることになります。

減点主義で意思決定の遅い日本企業

完璧なエビデンスなどありえない
完璧なエビデンスなどありえない
「技術の動向はこうで、景気はこうなるから…」
「顧客のニーズはこう動き、競合の動きはこうなる」

   さまざまな要素について仮説を立て、その根拠となる材料を集め、さらに見込まれるリターンとリスクを整理する。しかし未来は誰にとっても不確かなことなので、作業はいくらやっても終わりがありません。

   そうこうしているうちに、商品リリースの時期が遅れたり、エビづくりで労力を使い果たしてしまったり…。何ごとも減点主義の日本企業ではよくある光景です。

   ただ、中にはなぜかうまく会議を乗り切って、意思決定を得る人もいます。そんな人はどういう方法を採っているか。それは仕事を推し進めていくために「ボトルネック」となりそうな人を押さえているのです。

   本来、リスクは客観的に測るものであり、属人的な要素は関係ありません。リスクの可能性の高さと、万一起こったときの損失の大きさで判断されるべきです。

   とはいえ、企画を実際に通し、推進するのは人。緊急度や重要度が高いと思えなくても、意思決定をする人が気になった以上、その指摘はクリアしなければなりません。

   市場に出す最適なタイミングを逃さないために、稼げる人は意思決定者をあらかじめ確認し、ボトルネックとなりそうな人が納得しそうなエビデンスを用意することを欠かしません。

人を想定した答えづくりは営業も同じこと

   心配性の先輩には「そんなにうまくいくの?」、前例を重視する上司には「うまくいった事例ってあるの?」といった問いに対する答えをあらかじめ準備しておき、そう言えるエビデンスを優先して準備しておくのです。

「もし失敗したらどうするんだ!?」

と怒鳴るような社長であれば、小さな失敗に対応しながら修正を繰り返していける体制について、あらかじめ検討しておくことも考えられます。

   さらに「この時期までにここまで達成できなければ撤退しましょう。損失はこの程度で済みます」という撤退戦略を示すことで、納得を得られやすいかもしれません。

   あらゆる要素を網羅的に深く調べることはできませんし、どこまでいっても仮説でしかありません。このような焦点化を図っておかないと、エビデンスの準備に膨大な手間と時間がかかってしまいます。

   ちなみに、これはクライアントに対する営業提案でも同じことです。とにかく、エビデンスづくりは「目的意識」を持って行うことが重要なのです。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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