2020年 10月 1日 (木)

「売上伸びてるのに銀行がケチつける!」――社長、それはこういう事情です

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「おう、大関さん、あんた元銀行員だろ。銀行ってヤツはどうなってんだ。説明してくれよ!」

   同業者の会合で、飲食店仲間のJ社社長が顔を合わせるなり噛みついてきました。社長は地域で4店舗の飲食店を経営するオーナー。ジャンル違いの多店舗経営を展開しており、幅広い顧客層から支持されています。

   事の成り行きはこうです。今期は各店の改装や新メニュー開発による集客力のアップ、季節ごとのキャンペーンのヒット等が寄与し、増収基調で推移しました。

   しかし、改装時期が重なったことや、バイト単価の上昇と定着率低下による採用コストの急増等があったがために、支払いが急増。ここ3期は連続増収増益だったのに、前期は繰越損失を計上するほどの赤字が出ました。

唐突に「金利引き上げ」と「追加担保」を要求

この状況では他の銀行も簡単に肩代わりしてくれないかもしれない
この状況では他の銀行も簡単に肩代わりしてくれないかもしれない

   これを知った銀行の若い担当者は、態度を急変させました。決算書を渡した総務部長に対し、来期の「貸出金利の引き上げ」と、追加担保として「役員である兄弟名義の土地建物」の差し入れを打診してきたのだそうです。

「いい加減にして欲しいよ。売上は大幅に伸びているんだぞ。償却に該当しない改装費用やら採用コストやらが、たまたま嵩んだから赤字になったとはいえ、家族名義の役員賞与を返上すれば実態は十分黒字なんだから」

   ついこの間までは「長期をもう一本借りてくださいよ」とか「賞与資金も銀行使ってくださいよ」とか言っていた担当が、潰れそうな会社でも見る眼で手のひらを返すようなことを言ったとか。社長の頭からはモウモウと湯気が上っているのが見えるようでした。

「頭に来たね。他の銀行からだって『借りてください』と言われているんだから、この際全部肩代わりしてもらう!」

   しかし、いきなり短気になって長年の銀行取引を解消するのは得策ではありません。社長の気持ちは分かりますが、他の銀行に相談を持ちかけても取引実績がない分、一層厳しい答えが返ってくるおそれもあります。

   ここはひとまず銀行の事情を知る立場として、なぜそんなことが起こったのか、どう対処するのがよさそうかをお話しすることにしました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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