新卒でいきなり好きなことをやって何が悪い? 自分の道は自分で選ぶしかない

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   先日、新卒でいきなりベトナムに来て働いているという社会人2年目の若者に出会いました。彼の話は、日本で普通に信じられている就職活動や就職といった話の常識を打ち砕く面白さだったので、すこし紹介してみようと思います。

   佐々木さん(仮名)は、実は日本の名の知れた会社に内定が決まっていました。入社まであと2週間になろうかという3月のある日、本当にそこに入っていいのか悩んでいたことが、ついに限界値を超えて爆発します。

スカイプで面接。大企業を辞退してベトナムで就職

「今はいいが将来後悔する」「安定のほうが大事なことにいずれ気づく」という人もいるが
「今はいいが将来後悔する」「安定のほうが大事なことにいずれ気づく」という人もいるが

   というのも、その会社では新人に期限の決まってない下積み期間があるのです。もしかしたら地方の支店で、いつ終わるか分からない現場の仕事をしなくてはいけない。彼は海外での勤務を希望していましたが、実際にそこに行ける保証は何もありません。

   佐々木さんは入社の2週間前、ついに行動を起こします。なんとベトナムのある会社に連絡してみたのです。彼は昔から旅行が好きで、将来やってみたかったことは「海外で旅行の仕事をする」でした。

   しかし就職活動では、旅行業界からは内定はもらえませんでした。その思いが急に沸いてきて、過去に自分が使ったことのあるベトナムの旅行代理店に連絡してみました。そこで日本人の若い人が働いていた記憶があったからです。

「新卒の学生ですが、求人はありませんか?」

   なんと答えは「ある」でした。入社予定日の4月1日まで1週間に迫ったころ、その旅行代理店の面接をうけました。社長はベトナムにいるので、スカイプで面接です。そして、翌日には内定が出ました。

   佐々木さんは入社予定だった大企業に辞退の連絡をして、1週間のうちに引越しを準備して、4月1日にはベトナムで働いていたのです。最後の2週間ですべて変わってしまった。何とも劇的な話です。

過当競争に飛び込むのは、苦渋を舐めに行くようなもの

   佐々木さんは、この決定に後悔はなさそうでした。もちろん仕事を覚えなくてはいけない1年目は非常に忙しくて大変だったそうですが、お話しした感じ、実にいきいきとしていました。

   自分のやりたいことがやれている感、とでもいいましょうか、いわゆる「腐っている」感じがまったくないのです。仕事が楽しくてしかたないという感じ。

   このように海外渡航を含め、新卒でいきなりやりたいことをダイレクトに実現している人に最近何人か会いました。いずれも従来の就職観、常識を打ち砕くものです。

   自分のやりたいことを実現するには、いろいろなルートがあるのだと思います。みんなと一緒に、同じようにリクナビに載っている企業にエントリーして、同じように就職活動をして同じように頑張る方法もあるでしょう。

   しかしそれは過当競争のど真ん中に自ら飛び込んで、わざわざ苦汁を舐めにいくようなものです。佐々木さんの行動は、常識を変えてみればやりたいことをダイレクトに実現する方法はいくらでもあるのだと気付かされます。

   このような就職については、しつこく否定する人も多いです。「今はいいが将来後悔する」とか「つまらない仕事でも安定のほうが大事なことにいずれ気づく」とか、「海外だと賃金が安い」とか「新卒でいきなり海外は危険だ」とか、いろいろ辛口のご意見をする人がいるのはよく知っています。

   ただ、それぞれの人生なので、他人が口を挟んでも仕方ないでしょう。自分の生き方は、自分で決めるしかないのです。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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