要注意「ワンマン経営のイエスマン管理者の管理下」
その際にポイントになるのは、管理者です。企業が意図的に法令違反を犯すのは完全「ブラック」ですが、経営者の預かり知らぬところで法令違反が起きていることも間々あります。その原因として非常に多いのが、管理者の人事管理面における法令知識不足なのです。
飲食チェーンのB社は、ネット掲示板で、「労働環境劣悪のブラック企業」として元従業員によるものと思われる書き込みが発覚し、大騒ぎになりました。社長は当初、「うちは法令違反をしているような労働管理は一切していない。犯人を探し出して名誉毀損で訴えてやる!」と怒りが収まらない様子でした。
しかしいろいろ調べてみると、社長から残業削減を命じられた店長が部下に暗にサービス残業を強いるような発言をしていたり、一部現場で休日出勤の代休が取りにくい環境だったことが判明したり、繁忙期の長時間労働が黙認されていたり。店長の労働管理の基礎知識不足による、法令違反にも問われかねない杜撰な管理実態が、いろいろ明らかになったのです。
経営者が法令違反やそれに近い労働環境を作る意図がなくとも、管理者の知識や意識が不足することで、結果として思わぬ「ブラック」環境を作ってしまい、意図せざる「ブラック」企業になってしまっていることもあるのです。特に、ワンマン経営のイエスマン管理者の管理下においては、経営者にいい顔をしようとするあまり無理な労働環境を部下に押し付けることもありますので、ワンマン社長様は要注意です。
いわゆる反社会的勢力でない限り、意図した「ブラック」企業はほとんどないと思いますが、意図せざるブラック化などによりブラック疑惑をかけられることは、企業活動においてマイナス以外の何ものでもありません。経営者の皆様には、「ブラック」疑惑をかけられないための注意を十分に払いつつ、今年もホワイトな企業として業績の伸展に邁進していただきたく思います。(大関暁夫)

