2024年 4月 26日 (金)

なぜブラック企業なのに辞めないのか?(下) 「お前なんて転職無理」の洗脳はびこる

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結果的にブラック企業をのさばらせている

●(2)責任感が強い

   真面目で、ハードワークな環境でもコツコツ働けるタイプの人たちだ。「周囲もがんばって働いている」「自分だけが抜け出してしまうと、周囲のメンバーにしわ寄せが来てしまう…」などと考え、一人で抱え込んでしまうのである。

   結果的に鬱病などを発症しやすく、最悪の場合、過労死や過労自殺に至ってしまう可能性もあるので、あまり抱え込まないようにすることをお勧めしたい。

   責任感が強いことは、業務上では実に素晴らしい特質だ。しかし相手が違法行為も辞さないブラック企業で、本人が追い詰められた状態なのであれば話はまったく異なる。もう気にすることなく、辞めてしまえばよいのだ。企業側が社員に対して無責任なら、社員も無責任でいい、と割り切って考えようではないか。

●(3)プライドや承認欲求を満たしている

   これまで無職やフリーターだった人にとっては「正社員である」ということ自体が優越感であり、承認満足感を抱いてしまう要素でもあり得る。そこに対して、「ここまで苦労したのに、またニートに戻りたくない」「無職とバカにされたくない」というプライドが絡み合って、辞められないマインドセットになっていることが考えられる。

   また「養う家族がいるから辞められない」という理由にも、同様の背景が存在する可能性がある。本当にお金の問題であれば、辛い思いをしながらブラック企業で働き続けるより、他の会社にサッサと移ったほうが精神衛生上良いはずだ。しかしそれでも辞めないのは、「一つの会社で真っ当に勤め続けている自分を認めてほしい」「中途半端に辞める(ように見える)ことで、親や家族を心配させたくない」「自分が家族を食わせてやれなくなるなんて情けない」といった、いわば「見栄」に近しい感情が根底にあるケースも存在する。

   気持ちは分からんでもないが、自分自身への承認を、ブラック労働に求めてはいけない。そんな人の行動が、結果的にブラック企業をのさばらせていることになることに気づくべきなのである。

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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