2024年 4月 26日 (金)

MBA男が入札前日になって泣き出した! 「こんな仕事、重荷過ぎてできません~」

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   日本にいながらにして、MBAが取得できる――。

   それは、多くの「意識高い系」のビジネスパーソンに魅力的に映るらしい。だが、それこそが「落とし穴」だと語るのは、ある独立系コンサルティング会社の幹部だ。

「国内MBAでググると、日本の有名大学の大学院やアジアナンバーワンを自称する独立系ビジネススクールの名前がズラリと出てきますが、実は、その大半が日本の文部科学省認可の『経営学修士』。つまり、単なる専門職大学院なんです。ここを出て経営学修士になっても、国際認証されたMBAではありません。 "ガラパゴスMBA"です。それを、グローバルに通用するエリートの証だとでも勘違いし、自分はMBAだなんて、海外で名乗ると、学歴詐欺扱いされかねませんよ」

国際認証されたMBAと、そうでない「ガラパゴス」MBA

お手上げ、と突然言われても…
お手上げ、と突然言われても…

   このコンサルタント氏によると、MBA認証機関であるAACSB、AMBA(Association of MBAs)、EQUIS(European Quality Improvement System)の認証を得たMBAを修了しないことには、本来的には、MBAを取得したことにはならないそうだ(ちなみに、日本では、慶應義塾大学、名古屋商科大学などがAACSBからの認証を取得している)。

「本当は国際認証されたMBAでもなんでもないのに、200万円近い授業料と2年の時間を捧げて、『俺はMBAホルダー』なんてエバっている人は、お気の毒としかいいようがない」(前出コンサルタント)

   国内MBAと名乗る学校の中には、週末や平日の夜間に授業を行うところ、あるいは、オンラインによる学習が出来る大学院もあり、人気を集めている。

   もっとも、夜間大学院も学費は年間150万円以上、オンラインMBAでも年間120万円以上と高額なところが多い。さらに、通常の会社での仕事をしながら、数々の課題に挑み、授業を受講する負担は並大抵ではないだろう。

   果たして、それだけの金銭的負担と、精神的、肉体的労苦を掛けるほどの、価値があるのだろうか?

   あくまで筆者の取材の範囲で、ではあるが、結論から言うと、疑わしい。というのも、「MBA」を取得した人の評判は、多くの場合、あまり芳しくないのだ。

「東大君」が、「まだ偏差値が足りないからだ」とばかりに資格に走る

   石を投げればMBAに当たると言われるコンサルティング業界で活躍する上級幹部はこう語る。

「今日び、海外や国内でMBAを取得しようとする人は、主に二つのタイプに分かれます。一つは、青白き秀才君。"東大君"が外資コンサルなどに入って、うまくいかなくってクビになり、うまくいかなかったのは『まだ偏差値が足りないからだ』とばかりに、資格やMBAに走るパターンです。彼らは、自分が仕事でうまくいかなかった理由が、学力・知力以外の部分にあることを受け入れられない。だから、学力の上塗りをしても、『飛べないスーパーマン』になるだけ。いくらスーパーな知識やワザを持っていても、飛べなかったら意味がない。知識があっても、実務ができなければ意味がないのです」

   ある商社のマネジャー氏も、ガラパゴスMBAを取得した部下の働きぶりに、頭を抱えている。

「ウチじゃTOEIC満点のMBAなんてザラですが、決まって全員使えない。最近は、同期が集まると、『俺、アイツをイチオシで採用しちゃったからさ~、人を見る目がゼロだよ』と自虐ギャグの対象になるほどです。先日も、ある入札案件の前日になって、仕事を任せていた30歳のMBA男が、実は入札の実務を何にもしていなかったことが判明しましてね。毎日、何度も『あの入札の作業、進んでいる?』と聞いては、『はい! やっています』という返事が返ってきていたにもかからずこの有様で、まるで詐欺にあったくらいに呆然としていたら、いきなり、『ボクには、こんな仕事、重荷過ぎてできません~』とオフィスでおいおい泣き出しました。結局、事務職含めて部員総動員で、彼の穴埋めのために徹夜するハメになりましたよ」

   飛べないスーパーマンどころか、泣き虫スーパーマンでは目も当てられない。(佐藤留美)

佐藤 留美(さとう・るみ)
ライター。企画編集事務所「ブックシェルフ」(2005年設立)代表。1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、現職。著書に、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)、『なぜ、勉強しても出世できないのか?』(ソフトバンク新書)、『結婚難民』(小学館101新書)などがある。
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