2024年 4月 20日 (土)

「仕事のできる経営者」が陥るワナ

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ビジネスにおける「引き算」「割り算」とは

   社長からすれば、「努力で叩き上げた自分にできたことが、社員に出来ないはずはない」ということなのですが、私も当時はともかくその後の経験を経て、そのような考えは往々にして仕事が出来る経営者ほど陥りやすい過ちではないかと思うようになりました。A社をはじめ多くのできる社長の下で働く社員が口にするのは、「努力できるかどうかだって能力のうち。社長は会社を立派に運営できるような器の人なんだから、僕らとはそもそも能力がちがう」ということ。これは、至極真理であるように思えるのです。

   そこで私は数多くのケーススタディから学んだ、仕事のできる経営者だからこそ心掛けるべきことを少しお話ししました。

   仕事ができる経営者は、確実にビジネスにおける足し算と掛け算が得意です。足し算は、仕事の拡大に向けて部下を増やして役割を分担させ、社内の協力体制を構築する1+1を2に、あるいは3や4にまで増やして組織をより増加基調でかつ効率的に運営する足し算です。掛け算は、営業力を駆使して外に人脈を広げ、他社とのアライアンスにより自社1社では到底できなかったであろう業務や販路の飛躍的拡大を実現する、まさに掛け算的事業拡大。

   拡大志向の足し算や掛け算は企業を成長させていく上では不可欠なものであるのですが、足し算や掛け算だけではどこかで必ず行き詰ってしまうのもまたビジネスなのです。そんな折に必要なことは、調整局面で我慢をしたり、状況に応じて目標ステージを割り引いて考えたりといった、どこかのタイミングで踊り場を設けるような引き算や割り算です。足し算、掛け算で企業を成長させ、さらにその先の発展ステージにまで持ち上げられた経営者方を見るに、引き算や割り算も上手な人ばかりだなと実感することしきりなのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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