2019年 10月 17日 (木)

「過労死防止法」で過労死はなくなるか 「微妙な気分」にさせられる理由とは

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   先日、衆議院で超党派議員の手により、過労死防止法案が可決された。なんでも、過労死を防ぐためにこの問題に対する国の責任を初めて明記し、過労死の実態や防止策の調査を行い、過労死防止対策協議会を設けたり、民間団体を支援したりするという内容だ。

   はたして本法案は具体的な効果を上げることが出来るだろうか?

そもそも、過労死はなぜ起こるのか

   その前に、過労死が生まれるメカニズムを整理しておこう。

   企業が雇用調整する手段としては2種類の方法が考えられる。世界的にみて一般的なのは、従業員の人数で調整するというもので、忙しかったら人を雇い、暇になったら誰かをクビにするというものだ。当然ながら流動的な労働市場が前提となり、必ずしも雇用が安定しているとは言えないけれども、少なくとも普通の人が倒れるまで働かされることはない。

   もう一つは、すでに働いている従業員の労働時間で調整するというもので、忙しければ残業時間が増え、暇になったら定時で帰るというスタイルだ。こちらは(既に正社員の椅子に座っている)従業員の雇用はとても安定する一方で、忙しい時は月100時間でも200時間でも残業させられることになる(建前上の法律論は別として)。

   もちろん、終身雇用の日本は後者であり、いっぱい残業できるように規制も緩やかにしてある。いうなれば過労死は終身雇用の副産物みたいなものなのだ。だから、過労死をなんとかしたいなら、終身雇用自体にメスを入れるしかない。

   そういう観点から本法案を眺めてみると、過労死防止月間や調査委員会の設置だの、白書を毎年作るだの、見事に本質を回避した内容であるのがよくわかる。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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