「クラウドソーシング」が招く「格安」の大波 仕事で生き残る「2つの方法」とは

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   私は海外に在住しながら、日本人や外国人相手に仕事をしています。

   本の執筆など、大手出版社の依頼で仕事をすることもありますし、サムライカレープロジェクトのように自分で人を雇用して仕事をすることもあります。

   後者の自分で人を雇って仕事をする際、非常に便利な仕組みがクラウドソーシングです。サムライカレープロジェクトでは、コレがなければ回らないくらい活用しています。

世界各国から応募。スペイン、イギリス、アメリカ、シンガポール…

   クラウドソーシングとは、ネットを通じて世界の様々なところにいる人に仕事の依頼をする仕組みです。

   例えば、サムライカレープロジェクトのこのロゴは「Logo Tournament」という仕組みを使い、スペイン人のデザイナーに作ってもらったものです。

スペイン人デザイナーが作ったロゴ
スペイン人デザイナーが作ったロゴ

   このサイトは、275ドル以上の賞金を設定し「このようなロゴを作って欲しい」という希望を英語で入力すると、世界中のデザイナーがロゴの案を出してくれます。それぞれのロゴに「もうちょっとこういう風にして欲しい」という依頼も可能で、最後に自分が選んだロゴの作成者に、私から賞金が支払われます。

   サムライカレーのロゴを依頼したときには、スペイン、イギリス、アメリカ、シンガポール、インドネシア、ベトナム、日本、中国など様々な国のデザイナーから150個以上のロゴが上がってきました。

   数十人のデザイナーのコンペをたったの3万円弱でできるのは、事業主からしてみると本当に便利なしくみです。

   また、サムライカレーの日本語のロゴは、ココナラというサイトを使用しました。

   日本語のロゴが欲しかったので、外国人の登録者が多い海外サイトはやめて、日本のサイトを使うことにしたのです。ココナラというサイトは、500円で様々な仕事を頼むことができるお手軽なクラウドソーシング。「筆文字を書きます」という人に、文字数が多かったので1500円を払ったら、この文字を含む4パターンの文字が送られてきました。

日本人デザイナーによる筆文字
日本人デザイナーによる筆文字

   ロゴトーナメントと違って、送られてくるパターンが少ないですし、「もうちょっと修正して」というリクエストも効かないのですが、一発で気に入るものが手には入ったときのコストパフォーマンスは抜群です。

「格安で質のいい作品」を入手可能。ということは…

   クラウドソーシングのいいところは、このように格安にものすごく多くの人のコンペを行い質のいい作品を手に入れたり、格安で仕事をしてもらったりすることができることです。ただ、毎回毎回発注するのは、発注にかかる時間のコストがかかるため、継続した仕事には向いていません。私の場合、サムライカレーのWebページのバナー作りなどは、知り合いのデザイナーの人に継続的にお願いしています。

   このような仕組みを使っていて思うのは、これから仕事をする側の人は大変だなということです。

   例えば3万円のコンペに勝ち残っても、日本ではお小遣い程度にしかなりません。しかし、ベトナムやカンボジアでは1か月分の給料です。このトーナメントでベトナム人が勝ち残っていたら、そのベトナム人はあとは1か月遊んでいてもOKです。ベトナム人の優秀なデザイナーにとっては、こんな素晴らしい仕組みはないと思うのですが、日本のデザイナーにとっては恐ろしい悪魔の仕組みでしょう。

   そんな世界で生き残っていくためにやるべき事はなにかと考えると、ひとつは日本語の壁の中で生きていくこと。日本語のロゴを作れる外国人デザイナーはまだ少ないですから、あまり途上国のデザイナーとは競合になりません。ただ、日本国内にも子育て中の主婦や、生活費の安い地方在住者、定年退職したあとの人など、競合はたくさんおり、安泰とは言えません。高確率でトーナメントに勝ち残れるだけのデザイン力を身につけたり、最新の技術や自身のブランドを身につけたりして競合がいないところで仕事ができるようにスキルアップしていく必要がでてくるのです。

   もう一つの方法は、彼らを使ってビジネスをする立場になることです。

   個人事業やスモールビジネス立ち上げをする人にとっては、こんな便利な仕組みはありません。また、自分で事業を立ち上げなくても、例えば提案型の営業をしている人は、お客様訪問や提案の骨子は自分で行い、パワーポイントの資料作りは勝手にクラウドソーシングで外注してしまうなんてこともできます(守秘義務に注意しなくてはなりませんが)。

行動に移すのは、早ければ早いほどいいはず

   私がセールスコンサルタントという仕事をしているときも、パワーポイント作りにはかなりの時間をかけており、これが外注出来れば労働時間は圧倒的に短くなります。自分でやらなくてはならないことと、他の人に外注出来ることを切り分けて、外注出来ることを社内だけでなく社外のリソースも使ってやってしまうというのは、これから一般的になるのではと思うのです。

   となると、大切なことは、自分がやっている仕事が外注できるものか、できないものかを確認することです。このコラムを読んだ人は、ぜひ、クラウドソーシングのサイトを見て、依頼されている事項を自分の仕事と比べてみて、合致するようであれば、対策を考えなくてはなりません。

   クラウドソーシングでコンペと戦って圧勝できる実力をつけるか、使う側になるか。方針を決めて行動に移すのは、早ければ早いほどいいはずです。

   クラウドソーシングは今後、より多くの場面で使われるようになるのはほぼ間違いないでしょう。こんな仕組みはあってはならないと文句を言っても、秋が終わると冬が来るのと同じように、時代は容赦なく移り変わっていきます。

   寒くなることはわかっているので、寒さ対策をしたり、ストーブを売る事業を始めたりすることが大切なのです。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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