「英語のグラウンド」に踏み出そう 机上だけの学習に「さようなら」

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   今、カンボジアで行っている研修プログラム「サムライカレープロジェクト」で英語も学習できるようにしようと、英語の講師を雇っています。

   そのため、「TOEIC 900点以上相当、英語講師経験2年以上」などの条件で募集をかけてみたところ、現地在住のカンボジア人やフィリピン人の講師が何人も応募してきてくれました。

   こうやって集めた履歴書をみていると、なぜ日本の英語教師は...と、考えてしまいます。

日本の英語教師の「実力」は?

英語学習における「ボールを握る」重要性とは
英語学習における「ボールを握る」重要性とは

   日本の英語教師のTOEICの平均点は500点台であるという話を聞いたとき、さすがにそれはなんかの間違いだろうと思っていました。できる教師は1度しか受けないけど、できない教師は何度も受けるなど、何らかのバイアスがかかっているのかと。

   しかし、実際に現役の中学、高校の英語の先生に会ってみると、500点台はもちろん、400点台の人もたくさんいました。400点台というと、大学をでたころの私の点数で、当時の私の英語レベルは「何も喋れない」でした。

   なぜそのような問題が生じるかについて、教職を持っている人に聞いてみたところ「大学の教職課程で学ぶことは英語の話し方、書き方ではなく、英語の教え方だから」ということでした。英語が話せるか、正確な文法で書けるかが問題ではなく、教育指導要領通りに授業を行う事ができるかがポイントのようです。

   確かに、野球の経験がない人でも、野球中継を見たり理論書で勉強したりすることで、効果的な配球の理論を教えることはできるようになります。1点差のランナー3塁の状況で1点も取らせないためには、外野に飛ばされないように配球を低めに集める、といったように、セオリーを伝えることはできるのです。

英語学習における「ボールを握る」体験

   とはいえ、そんなセオリーだけを教えることに意味があるのかというと大きな疑問です。試合で役に立つ技術を身につけるためにはグラウンドで身体を動かす事が必須ですし、その指導をするには少なくとも教える側もボールを握った経験が必要であるはずです。

「日本の高校生が英語を覚える理由は、大学に入るためだから、受験英語ができるようになって、入試に受かればいいんじゃない?」

   まあ、そのとおりです。と、いうわけで、それなりに英語を勉強しているのに英語ができない国民が大量生産されているわけです。

   そもそもパスポートを持っていない日本人も結構いますし、日本国内だけで生きていくのに英語は必要ありません。日本が今後も豊かであれば、これも問題ない気がします。だったら「外に出ていかない」と決めている人には今まで通りの教育でいいけれど、「外に出ていきたい」と思っている人には、英語学習を一旦免除して他の事を集中的に学ぶ時間にしたうえで、後に留学して英語を学んだ方がいいんじゃないかと思うのです。

   英語をやる時間に数学やら国語やらを前倒しで勉強し、3か月くらい時間を作ってアメリカなりフィリピンなりに留学して英語を学ぶようなプログラム。過半数の日本人には英語は要らないというのは本当だと思うので、しっかり学ぶ人、学ばない人をハッキリ分けるべきだと思うのです。

   それ以上にやって欲しいことは、英語講師の留学です。

   英語学習における「ボールを握る」体験とは、英語で話をすることです。英語を使って生活をし、英語を使って何かを学び、英語を使って仕事をすること。少なくとも「英語を学びたい人」を教える教師は、この「ボールを握ったことがある」先生にして欲しいなと思います。

あふれる学習機会、あとはやるだけ

   カンボジアで仕事をしていると、英語が話せる人が多いことに気付きます。大学を出た人は、完全ではないまでも英語でコミュニケーションがとれます。それは、専門書はクメール語で発行されていないため、英語で読まなければならないですし、それなりの規模がある企業では、当然のごとく英語が共通語なので英語で仕事をしなくてはならないのです。つまり、カンボジアの優秀層は強制的に、英語で学び、英語で働くという「ボールを握ったことがある」人なのです。

   ボールを握ればすぐに野球が上手くなるわけではありません。でも、ボールを握ることと理論を学ぶことを両方バランスよく行わなければ上手くなりません。日本の英語教育は、そのどちらも足りない、特にボールを握る経験が根本的に足りないという状況です。

   だから、海外で働けるようになりたい、外国人と一緒に働きたいと思っている人は、このことをしっかり認識して、勉強に励むしかありません。学生時代の勉強が非効率であったことを恨んでも何も返ってきませんし。

   幸い、みんなそれで困っているので、民間企業があの手この手で英語を勉強する方法を提供してくれています。文法の基礎は、膨大な量出ている参考書でゼロから学べますし、読書では最新ニュースから漫画まであらゆる英語書籍が発行されてます。音声教材も無限と言ってよいほどありますし、アメリカやフィリピン留学、オンライン英語教室などもあります。

   グラウンドは、すぐ目の前にあるし、ボールも用意してあるので、あとはやるだけです。

   そして、ひとつ私が望むのは「国内で生きていけばいいや」と思っている英語の先生達に、グラウンドにでてボールを握ってもらう事です。

   サムライカレープロジェクトでも「せっかくグラウンドに出たから、英語を教えてくれるコーチが欲しい」という要望を多くいただいたので、(2014年)12月よりカレー屋起業体験をしながら英語を学べるプログラムを作りました。また、忙しい社会人の方向けに1週間のコースもつくりました。

   英語で仕事をする経験をしたい方、ぜひお越しください。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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