「勝敗を分ける」就活本の選び方 SPI編「その対策では空回り」

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   今回のテーマは「就活本の選び方」です。自著の宣伝は他でするとして、それ以外に私・石渡としてお勧めできるものはなにか、などをご案内していきたいと思います。1回目はSPI(適性検査)について。

SPI(適性検査)って何?

どの本にしようかな?
どの本にしようかな?

   まずは適性検査について。これは性格検査と能力検査のどちらか、または組み合わせた筆記試験です。受検にかかる時間は30分から1時間程度。受検費用について就活学生は無料(企業側が負担)。

   就活を大学受験にたとえれば適性検査はセンター試験みたいなもの、と話す学生やキャリアセンター職員もいますが半分くらいは当たっています。

   一番有名かつ使用されている適性検査がSPI3です。性格検査と能力検査の両方あり、後者は言語分野と非言語分野に分かれ、前者は国語、後者は数学です。

   この能力検査のスコアの目安は8割程度と言われています。ただし、大学受験と違い、8割以上なら合格、それ以下なら不合格などかっちりしたものではありません。

   SPI3以外の適性検査によっては英語や社会、理科などを組み合わせるものもありますが少数派です。

同レベル学生の合否が分かれるのは対策本のせい?

   むかしむかし、ではない、つい最近、文系大学文系学部にAさんとBさんがいました。2人は仲良しであり、文系学生にありがちな数学嫌いであり、普通の学生と同様それなりに努力家でした。

   就活でもそれなりに頑張ろうと思ったAさんとBさんは数学が嫌いでは適性検査も突破できないと考え、対策本を購入。少なくとも最初の1週間は1日1時間勉強していました。

   しかし、Aさんは適性検査に突破し志望企業に内定。一方のBさんは適性検査にまるで通らず連戦連敗となりました。めでたし、めでたし?いや、Bさんからすればめでたくもなし、と。

   同じ時間を適性検査対策にあてたにも関わらず、差が出てしまうのか、その理由は適性検査対策本にあります。

   Aさんが購入した適性検査本は能力検査・非言語分野について、推論、集合などのテーマが先に並んでいます。数学が得意な理系学生であれば簡単なのですが、数学のパズルのようなもので、文系学生は大体が苦手。しかし、Aさんはめげずに対策した結果、解答できるようになりました。

   一方のBさん。Aさんと同じように書店でSPI本を選びます。まず、Aさんと同じ本を手に取りますが、推論だの集合だのと言われても理解できません。そこで次の本を手に取ると今度は鶴亀算、速さの計算など分かりやすい問題から並んでいます。

   おお、これは分かりやすい、とBさんはこの本を購入。実はここが大きなターニングポイントなのです。

内容使い回しが落とし穴

   Aさんが購入した対策本もBさんが購入した対策本もどちらも「SPI3に対応」などと表紙に書かれています。

   しかし、SPI3に本当に対応しているのはAさんが購入した方です。SPIは1974年に開発(正確にはそれまでの適性検査を統合)されましたが、1996年に全面改訂。さらに2002年にSPI2に、2013年にSPI3にバージョンアップしています。

   そして変われば変わるほど当初は出題されていた鶴亀算など簡単な計算問題が姿を消し、推論・集合など文系学生が苦手とする問題が主流となりました。

   ここでカンのいい方はお気づきですね?そう、Bさんが購入した対策本はSPIの時代に刊行され、以降、内容を使い回しているだけです。表紙や最初の10ページくらいは変えていますが他は同じ。

   そして、文系学生にありがちなのですが、ややこしい計算問題になるとめげてしまいます。Bさんもまさにそうで「でも参考書は半分くらい勉強した。だからあとはどうにかなるだろう」と楽観視してしまったのです。そのBさんが勉強した「半分」は簡単な計算問題ばかりで今はほとんど出題されていません。いくら本人は勉強したつもりでも、実際には出題されない以上、適性検査対策ができていませんし、選考を通過しないのも無理ありません。

推論・集合など難しい問題がカギ

   その点、Aさんが購入した対策本はどうでしょうか?もちろん、こちらも内容を使いまわしている部分が皆無ではありません。ただ、刊行年がここ5年以内、もしくは毎年ある程度は変えていて、SPI3に準拠している、と言えます。

   仮に、あなたがBさんと同じく、簡単な計算問題から始まる対策本を購入したあとであれば、本稿で勧める対策本を買い直すか、せめて後半に出ている推論・集合などをしっかりと勉強することをお勧めします。

   また、お勧め本以外でも、大学受験と同じく対策本を何冊もやらないと気が済まないという勉強家の学生もいるでしょう。しかし、簡単な計算問題から始める対策本はわざわざ買う価値は低い、と言わざるを得ません。大学キャリアセンター・図書館にある古い年度版を借りる、ブックオフなど古本屋で安かったら買う程度で十分です。

   なお、この適性検査については就活生・企業への取材だけでなく、国立国会図書館にてSPI対策本すべてを過去の年度にさかのぼって比較調査したうえでの話であることを付言してきます。

性格検査は対策できる?

   ここまで能力検査について触れてきました。一方、性格検査はどうでしょうか?対策本によっては性格検査も端的にまとめると「ウソをつけ」と書いています。あるいはそうした指導をする大学関係者もいます。

   しかし、こちらもウソ。20年前の性格検査ならまだしも、今の性格検査はよくできています。ウソをつくと簡単に分かりますし、それで「虚言癖あり」と落ちるもとになりかねません。

   性格検査は正直に回答した方がどんな性格であっても通過する確率が上がります。まあ、回答スピードを上げたい、問題に慣れておきたいという意味での「対策」はやってもいいでしょう。しかし、ウソをつくという意味での「対策」は全くお勧めできません。

SPI対策本の切り札は、ズバリこの3冊

   対策本で一番売れているのは洋泉社の「SPIノートの会」が編纂している『これが本当のSPI3だ!  2016年度版』です。赤の表紙で目立つため、大学生協などで見かけた学生も多いはず。実際、大学生協でもかなり売れていますし、この本が一番信頼できます。内容を毎年ある程度ですが変えている点も好感が持てます。SPI3以外のテストセンター、WEBテストなどが気になるなら、このシリーズをどうぞ。

   SPI3とWEBテストを1冊にまとめたのがナツメ社の『2016最新版 史上最強SPI&テストセンター超実践問題集』。こちらもSPI3については難しい問題から始まっています。問題集が多いのも好評。なお、このシリーズ、2009年から刊行開始です。

   今年初刊行でなければ信用できない、という方にはTAC出版の『無敵のSPI3 でる順徹底攻略本2016年』。三田紀房さんの就活マンガ『銀のアンカー』を随所に使っています。

   とりあえず、SPI対策本で信頼できるのはこの3冊と言っていいでしょう。定価、ないし、大学生協での割引価格(1割引きが基本)なら買う価値は十分あると思います。他はブックオ・・・、なんてコメントすると炎上するのでこの辺で。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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