就活マニュアル本、「最新版」のウソ 鵜呑みにすると地獄を見る

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   前回に引き続いて、今回のテーマは「就活本の選び方」第2弾です。今回は就活マニュアル本・評論本についてまとめました。乱立して、どれがいいか悪いか悩む就活生も多いようですが、結論、私の本を読んでいれば十分です(ウソ)。

マニュアル本は「いつ刊行」が重要

その「最新版」、いつ書かれたのか?
その「最新版」、いつ書かれたのか?

   まずはマニュアル本について。

   結論、これを読むなら270円に値下げした『就活のコノヤロー』の方がまだまし・・・。

   いや、真面目な話、わざわざ買って参考になる本というのがほとんどありません。

   その理由は、刊行時期と誰が書いたか、という点にあります。

   刊行時期は、どの本も「2016年版」「2016年卒就活対応」などと書かれているじゃないか、と指摘する学生もいるでしょう。

   しかし、前回ご紹介したSPI本と同じく、内容を使いまわしているマニュアル本がほとんどです。

   内容を使いまわしている、ということはわざわざ定価で買う価値はありません。ブックオフなどで買うにしても、その内容の古さが気になります。

   たとえば、どんな質問・設問にも自己PRを絡めるべき、とするマニュアル本は多くあります。最初は良かったかもしれませんが、今はこの手を使う学生が多すぎ、採用担当者をうんざりさせています。

   同じように、グループディスカッションで司会をやった方がいい、とするものも同じ。

   マナー本などは内容が変化しないのですが、自己分析、エントリーシート、面接、グループディスカッションなどは時代によって変化します。使いまわしているマニュアル本は、変化に対応できていないまま「最新版」として販売されているわけで、それを鵜呑みにするのは危険です。

書き手が「誰」も重要

   同じように、誰が書いたかも重要です。書き手は就活について詳しいから書いている?確かにその通りです。

   その書き手のプロフィールがどのようなものか、意外と注目されていません。

   同じ「元採用担当者」であっても、1社だけだったか、複数の社を転職していたか。あるいは、現在は別の仕事をしているのか、それとも他の採用担当者をずっとヒアリングしているのか、などによって大きく変わります。

   大企業中心の話かもしれませんし、ベンチャー中心の話かもしれません。もちろん、どの企業にも当てはまる話、あるいは、業界・企業規模別にかき分けられる書き手もいます。

   それから、今も就活・採用状況をヒアリングしている書き手であれば自身の経験則よりも最新情報が中心となります。一方、そうではない書き手は自身の経験則か、現状への批判が中心で取材した跡が見受けられません。かくて、内容がどんどん古びることになってしまいます。

高くても買っておきたい『就職四季報』『業界地図』

   就活本では、まず基礎データを抑えるという点から東洋経済新報社の『就職四季報』をお勧めします。1冊2050円。しかも、通常版以外に『女子版』『優良・中堅企業版』もあり、3冊全部買うと6150円と結構、いい金額。まあ、男子学生は通常版と優良・中堅企業版、女子学生は女子版と優良・中堅企業版の2冊でいいのではないでしょうか。まあ、それでも4100円。さらに後でご紹介する『業界地図』が1100~1200円、合わせて5200~5300円。大学生協では1割引きが基本で、時期により1.5~2割引きセールをやっているのでそちらでどうぞ。

   どちらもデータ集です。個人で持つには高すぎる、それほど読まなそう、全企業網羅していない、無回答部分も多すぎる・・・など欠点を挙げていけばいくらでも挙げられます。しかし、それでも業界研究・企業研究を進めるうえでは手元に置いておきたいところ。就活の辞書の代わり、とお考えください。

マニュアル本・・・ではない『短所を言えたら』

   就活マニュアル本としては、今年刊行でTAC出版の『無敵のエントリーシート・自己分析・自己PR・志望動機』(三田紀房監修・本田勝裕)がよくまとまっています。前回ご紹介した『無敵のSPI3でる順徹底攻略本』と同じく、就活マンガ『銀のアンカー』を随所に使ったシリーズものです。著者の本田さんは、ポンタさんの愛称で知られるキャリアソリューショニスト(要するにコンサルタント)。甲南大、龍谷大、北星学園大などでキャリア講義を担当していて(単発のキャリア講演は多数)、その経験を元に書かれています。

   もう1冊、『短所を言えたら内定が出る』(柳本周介、パブラボ)もお勧め。タイトルからはどう考えてもマニュアル本なのですが、著者・柳本さんによると「これはマニュアル本でない。就活本だ」とのこと。

   柳本さんは採用コンサルタントとして、中小企業の採用担当を代行。これまで2万人以上を面接してきた経験を持ちます。その経験から学生からすれば言いにくい短所こそ話してほしい、との思いから同書を刊行されました。

   学生が陥りがちな罠を随所に書かれています。この罠に気づいて避けていくだけでも、就活がうまく行く確率は上がるはず。2012年刊行ではありますが、内容は全く現状と同じ。

理工系がガチで買っておく1冊は?

   理工系学生の就活失敗パターンは決まっています。文系学生と同じようにサークル・アルバイトネタを無理にアピールして撃沈。理工系なら理工系の強みを言おう、とまとめているのが増沢隆太・東京工業大特任教授の『理系のためのキャリアデザイン戦略的就活術』(丸善出版)。2000円(税別)という高めの本ですが、理工系の学生の進路別にまとめています。著者は東工大以外にもキャリア講義・講演等を担当しており、理工系就活に熟知している点も好感が持てます。なお、文系理系問わない本として『戦略思考で鍛える「コミュ力」』(祥伝社新書)も刊行。こちらもお勧めできます。

   ここまで、マニュアル本・就活全般の本などをご紹介していきました。ただ、働き方や業界・企業のことを知った方が、さらに就活の役に立つはず。そうした本でおすすめのものは大量にあるのですが、それはまた別の機会にでも。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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