年末年始に「絶対やってはいけない」親子の会話パターン

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   今回のテーマは「親子の会話」です。実家から離れた大学に通う学生も、自宅から通う学生も年末年始であれば親との会話が増えます。就活目前の3年生であれば話題は当然、就活になるわけですが・・・。

会話1

お正月に親子で・・・
お正月に親子で・・・

親:「で、どうなんだ、就活は?」
子:「うん、まあ、ぼちぼち・・・」
親:「そうか・・・」
子:「・・・」
親:「お父さんなあ、無理は言わない。ただ、人並みの努力をして人並みの企業に行ってくれればそれでいい」
子:「じゃあ、聞くけどさ。人並みの企業ってどんなところ?」
親:「そ、それはまあよく知られているところとか」
子:「そんなのそう簡単に入れるわけがない。気楽に言わないでほしい、全く」
親:「俺は心配して言っているのになんだ、その言いぐさは!」


【採点:親 D評価、子 D評価】

   解説:ありがちなパターンです。どちらもマイナス2万点でD評価となりました。まず、親側ですが「人並みの努力で人並みの企業」という言い方がまずすぎます。あまりにも抽象的すぎて、どう努力すればいいのか理解できません。

   学生側も親の曖昧な言い方がプレッシャーになってイラっとする気持ちは分かりますが、そこは抑えましょう。この程度でイラっとしていると長い就活でもっとイラッとしてしまいます。

会話2

親:「で、どうなんだ、就活は?」
子:「うーん、スケジュールが変更になっていつ選考かわからないしちょっと大変」
親:「そうか、まあ、頑張るしかないな。志望業界とか早く決めた方がいいんじゃないか?」
子:「まだ、ちょっと広く見ているところ。それよりお父さんはなんで今の会社を選んだの?」
親:「いや、俺の話はいいよ。それよりお前の・・・」
子:「えー、私、お父さんの話、聞きたいなあ。お父さんやお父さんの同僚の話、聞かせて?聞かせてくれれば私の就活の参考にもなるし」
親:「でも、それほど大した話じゃないかもしれないぞ」
子:「そうかなあ。私を大学に行かせてくれるくらいだし、そんなことないと思うけど。それにお父さんだって課長なんだし、若い社員にイラッとすることとかあるでしょ?そういうのも教えてほしいなあ」
親:「そ、そうか?だったら話すけどな」


【採点:親 C評価、子 A評価】

   解説:消極的かつ「志望業界は早く決めた方がいい」という曖昧なアドバイスをする親。会話1に登場した学生ならイラっとするところですが、この学生は親の話を聞こうとします。「大した話じゃない」と渋る親に「そんなことはない」と言い切り、さらに「若い社員にイラっとすること」を話してくれ、と迫ります。

   志望業界・企業と無関係の仕事でも、親の会社選びや仕事の話は参考になるはずです。仮に、そうしたものが全く面白くなく参考にならなかったとしても、40~50代の社会人が20代の若手社会人に対してどこに不満を持っているのかであれば話せることは多いはず。まして、その聞き出したことを参考に他山の石とするだけでも就活は大きく変わるはずです。

会話3

子:「・・・」
親:「来年は就活か。大丈夫か?」
子:「どうだろう?まあ、どうにかするよ」
親:「そうか、今年はスケジュールが変わるらしいから大変だな」
子:「お父さんのときはバブルで気楽だったんでしょ?」
親:「まあ、就活は正直、楽だった」
子:「ふーん、うらやましい」
親:「会社に入ったあとは色々あったけどな。20代の頃は上司や先輩社員とぶつかることもあったし、得意先を回るのも最初はうまく行かなかったし」
子:「どの辺が大変だったの?」
親:「そういう話してもいいか?」
子:「うん、聞きたい。お父さんの若いころの話」


【採点:親 B評価、子 B評価】

   解説:会話の最初は「大丈夫か?」。そう言われて大丈夫と答えられる就活学生はまずいません。ここは大きな減点。一方、学生も学生でちょっとイラっとしたのか、バブル就活の話になると、「うらやましい(それに引き換え自分のときは・・・)」と愚痴になりかけています。

   絶妙なのは親の側がその不穏な空気を察して、バブル就活の自慢をしなかったことです。ここでバブル就活の話をしても「昔は良かったね」と思われるだけです。わが子は何も得るところがありません。

   しかし、バブル就活の話に深入りせず「若いころは大変だった」と話題を変えるところがうまいですね。そういわれて興味を持たない学生は、よほど親子仲が険悪でない限りまずいません。

   親の昔話、それも苦労話は結果論から言えば就活にも好影響を及ぼします。下手なアドバイスよりもはるかに効果的なのでお勧めです。

会話4

母親:「それで就活はどうなの?テレビとか見ていると色々大変そう」
子:「うーん、なんかまだよくわからないんだよね」
父親:「そうか、確かにスケジュール変更もあって大変そうだな」
子:「そうなんだよねえ・・・」
母親:「お母さん、ファッション業界とか面白そうと思うのだけど、どうかしら?私も若いころ、就職したかったところだし」
父親:「まあ、そうだろうけど、本人がやってみたい業界なり企業なりを目指すのがいいんじゃないか」
子:「うーん、まだ志望業界とか決まっていないんだよねえ」
母親:「だったらファッション業界、いいじゃない」
父親:「まあまあ。あまり押し付けても混乱しちゃうだろう。それに就活では志望業界を最初から決め打ちしない方がいい、と『シュウカツノナントカ』にも書いてあったぞ」
子:「そういえば、キャリアセンターのガイダンスでも言っていた。それから説明会とかインターンシップとかどんどん行けって。でも、面倒だなあ」
父親:「なんだ、就活もお父さんの仕事とそれほど変わらないな」
子:「変わらないって、どういうこと?」
父親:「お父さんの仕事も面倒は多いさ。だけど、ムダと思えることもあえてやったり、失敗することも積み重ねで次につながることもある。そういうの、就活も同じなんじゃないか?」
子:「そういえば、お父さんの会社の話、私、全然聞いたことないよね?せっかくだから教えて」


【採点:父親 A評価、母親 D評価、子 B評価】

   解説:まず、母親は論外。「若いころ目指していたから」という理由で志望業界を誘導するな、と小一時間説教したいところです。この妻(母親)を抑えつつ、「大変そうだな」「本人に任すべき」と我が子をたてる父親はA評価。「説明会・インターンシップが面倒そう」と話す我が子を説教するわけでなく、「就活も仕事も同じ」と話して、自分の仕事の話に誘導するあたりが絶妙です。

   学生も、内心ではどう思ったか知りませんが、その誘導にちゃんと乗って話を聞こうとする姿勢がいいですね。

   気がかりなのは、この母親が「父と娘の会話で盛り上がって私だけのけ者にして」とむくれている可能性があること。そこはまあ、夫婦の会話でどうにかしてください(他人事)。


   仕事の話は普段、なかなか親子で話すこともないでしょう。しかし、親の仕事の話は必ず得るものがあるはず。せっかくの年末年始なので、仕事の話を聞いてみる(親側はしてみる)のはいかがでしょうか?それではよいお年を!(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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