就活「大学名差別」の赤裸々な実態 心の準備が整うまで読まないでください

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   今回から2回にわたってのテーマは大学名差別です。

   就活において、序盤戦で学生がやたらと気にする大学名差別。

「うちの大学、大丈夫ですか?」
「うちの大学の偏差値、正直低いですけど大企業は相手にするでしょうか?」

   大学で就活関連の講演をするとき、この大学名差別の話はみなさん関心が高いですし、終わってからもあれこれと質問を受けます。

   批判メール・コメントなどもこの件でよく来るのですが、今回はテーマが大学名差別そのものなわけで(しかも2週連続)、どんな(厳しい?)反応が寄せられるやら・・・

ごちゃごちゃの言説、東洋大卒が整理

わたしが大学で専攻したのは・・・
わたしが大学で専攻したのは・・・

   この大学名差別ネタを書く前にまず、私の出身大学などについて。私は北海道の私立高校から2浪したあと、東洋大学社会学部に入学、1999年に卒業しました。

   高校の同期は東大、北大など難関大に受かっていて、彼らが猛勉強していた横で寝ているか、読書をするかのどちらか(勉強は?)。

   学歴コンプレックスか、と言われればどうなんでしょうね。仕事相手の方は難関大卒が多いですけど、普通に接して反論したり、締め切りを破ったり(破るな)。それでも、同じ東洋大ですとか、他の中堅大の学生は頑張れ~と思います。

   どこかで、

「石渡はFランク大学出身のくせに偉そうに」

と書かれたときは、いや、東洋はFランクじゃないし、と反論を書き込みそうになりました。あ、こういうのを書くあたりが学歴コンプと叩かれそう(苦笑)。

   という、自分の立場を明らかにしたうえで、いよいよ本題に入るわけですが。

   就活をめぐる言説というのは、話す側の立場や時代背景、あるいはどの学生が対象か、など、ごちゃごちゃしています。

   それで、私なりに整理したところ、以下の8点にまとまりました。

1:大学名差別は、そもそもあるのかないのか
2:大学名差別をやっている企業は、大企業が中心か
3:大学名差別は受ける前から?それとも結果論?
4:大学名差別の線引きはどのあたり?
5:理工系技術職・研究職採用において、大学の偏差値は影響するのかどうか
6:地方大生が首都圏・関西圏で就活する際もマイナスに影響?
7:大学名差別は昔も今も変わらない?それとも変化している?
8:偏差値の低い学生はそれだけ不利になって当たり前?

大学名差別は「あって当たり前」

   それでは、1点目「大学名差別はそもそもあるかどうか」。これは簡単、あって当たり前です。

   一番わかりやすいところだと、ナビサイト。運営する就職情報会社の関係者はなぜか公式には認めませんが、大学名によって説明会予約をカットするかどうか、の機能などはあって当たり前です。

   採用する企業も、こだわる企業はこだわります。

   では、そのこだわりはどの企業か、それが2点目「大企業中心か?」。

   大企業でもこだわる企業はありますが、意外と数は少ないです。準大手から中堅どころの企業も、こだわらないです。

   まず、大企業の場合、採用の予算があって採用担当者が多数います。あるいは、適性検査やエントリーシートでの選別は外注することも。そのうえで面接をするので、中堅以下の学生でも選考に参加する、という点では問題ないところが多数。それと、大企業の場合、初期選考段階であまり大学名差別をやりすぎるとバッシングされかねません。

   準大手から中堅どころの企業の場合、こだわっているとそもそも学生を採用できない、という事情もあります。

   では、どこがこだわるか、と言えば、外資系企業の金融・コンサルタント、それから日本の企業だとマイナーなメーカーの総合職採用。このあたりはかなりばっさり切ります。

   どちらも共通しているのは採用担当者が少なく、採用にかけられる予算もない、時間もない、という点です。

   外資系の場合、本当に1人しかいない、というところもあるので、

「東大、早慶、一橋しか対象にしない」

というところも。

   マイナーなメーカーとは、具体的には世界的なシェアをもっていて、でも、知名度は極端に低い、というところ。

   これも全部、というわけではないのですが、こうしたメーカーの場合、理工系技術職・研究職採用が中心です。総合職採用も含めて担当者が1人しかいない、というメーカーもあり、こうしたところは全学生を見るというのが不可能、という事情があります。

大学名差別は結果論か

   3点目、大学名差別は受ける前からか、結果論か。

   私は受ける前から、という企業は少数派で全体から言えば、結果論と見ています。

   その理由は、学力、読書量、人間関係、モチベーションの4つあります。

   一番目の学力の高さ。これは言うまでもありません。適性検査の非言語分野などは中堅以下の学生はみな苦労するのですが、難関大の学生は簡単すぎて、という学生が多数。

   読書量も違います。難関大の学生ほど、本であれ、漫画であれ結構読んでいますし、ビジネス週刊誌や新聞も読んで当たり前、という学生が珍しくありません。

   人間関係もあります。コネとまでは言わなくても、大学やアルバイト以外でも社会人と接点をもつ、普通に話す、という学生はどうしても難関大の方が多いです。

   この3点に支えられてか、就活へのモチベーションも高い学生は難関大の方が多め。

   かくて、就活では、難関大生の方が中堅以下の学生よりも大手企業に内定が決まっていく、という次第。

線引きはMARCH?日東駒専?それ以下?

   4点目の線引き、これは企業によりかなり変わってきます。

「国公立大の難関大と私立大だと早慶クラスあたり、関関同立・MARCH(念のため。明治、青山、立教、中央、法政)クラスはギリギリ。選考は応募できても採用まで行くことはほぼない」(化学メーカー)
「日東駒専・産近甲龍(クドいけどご免。京都産業、近畿、甲南、龍谷)クラスでギリギリ」(IT企業)
「大東亜拓桜帝国(編集者がうるさいのよ。大東文化、東海、亜細亜、拓殖、桜美林、帝京、国士舘)・摂神追桃(摂南、神戸学院、追手門学院、桃山学院)まではセーフ。それ以下だときつい」(食品メーカー)
「産近甲龍と頑張っている私大、関西だと神戸学院大や大阪経済大、桃山学院大などは欲しい。それ以外となると微妙」(流通)

とあるIT企業は東日本の理工系私大を採用対象から外しました。当然、その大学の就職担当教員は怒り、その採用担当者に苦情を申し入れます。

「話を聞いてから、先生に適性検査の点数を見せました。『おたくの学生さんはこれだけ低くて、選考には通らないのです』。あまりの低さにその先生は絶句してそのままお帰りになりました」

理工系は事情が違う?

   5点目の理工系大学からの技術職・研究職採用。これはまた事情が異なります。技術職・研究職採用だと大体が修士以上になりますが、この場合、大学の偏差値がどうこう以前に、専攻が対象かどうかが問われます。対象外であれば、そもそも選考に応募できません。

   以前、山形大工学部という偏差値ランキングではぱっとしないところで講演をしました。ここは修士卒だと、名だたるメーカーに順当に就職しています。

   この山形大工学部より偏差値が15ないし20ポイント近く上の存在が名古屋大理学部。ここで就活イベントに参加して、その後、採用担当者や学生とご飯を食べに行きました。

   理学部生がメーカーの採用担当者に就職したい旨、話したのですが、採用担当者は一言。

「君どこ?ああ、理学部か、それだと技術職は無理だね。総合職で受けてくれる?」

   これでおしまいです。言っちゃなんですが、天下の名古屋大ですよ?それですら、専攻が違えば対象外。

   企業からすれば、専攻があっていないとそもそも採用する意味がないとのこと。

   というあたりで文字数尽きました。残りは次回に。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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