2024年 4月 26日 (金)

あなたの給料を本当に上げる 「6つの基本」の押さえ方

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   今回は、サラリーマンなら誰でも気になる「収入の増やし方」について、人事組織コンサルティング会社であるセレクションアンドバリエーション株式会社の代表取締役・平康慶浩氏に解説してもらった。

年功昇給と残業代で収入を増やしているなら、そろそろやばい

   会社側の給与の支払い方、つまり人件費の決定方法を知れば、私たちがこれからのサラリーマン生活で何を重視すればよいかが分かるんじゃないだろうか。

   ちなみに最近の会社が人件費を決める方法は、次の4つの視点に基づいている。

   社員の生活費をちゃんと確保しようという(1)生活費の視点。しかし、会社も利益を出さなくてはいけない。だからどれくらいまでがコストとして許されるのかという(2)コストの視点。最近では中途採用も増えている。そのときにどれくらいの年収を提示すれば優秀な人を採用できるか、が検討される。それが、(3)労働市場の視点だ。最後に、働いていない、働けない人たちを助けるための(4)社会保障の視点がある。年金とか社会保険料などがここに含まれる。

   この4つの視点で企業が人件費を決定するということは、つまり、「長年働いたから給与を増やす」とか、「長い時間働いたから残業代をたくさんあげる」という状態から脱するという意味だ。「相場の給与はこれくらいだからもう昇給はなし」とか「60歳以上の人を雇い続けなければいけないから、若い人は我慢して」と言われる可能性だってある。

   じゃあ給料を上げていくためにはどうすればいいのか。アベノミクスの改革が進むなか、2015年からの数年間は、次の6つに気をつけてみよう。

去年1年間、自分はいくら稼いだのか

□新しい仕事を引き受ける準備をする(職務給に対応する)

    同じ仕事をしている限り、毎年給与が増える、ということは今後減っていく。「職務給」という考え方と仕組みが広まっているからだ。では、どうすればいいのかといえば、新しい仕事を引き受けられるようにすること。例えば社内にITの専門家がいないのならITの勉強をするとか、新しいプロジェクトが立ち上がるときには手を挙げるとか。とにかく、「他の人がやっていない/できていない仕事」の経験を積むことだ。「できる」必要はない。やったことがあるかどうか、がこれからの給与を引き上げるきっかけになる。

□外国人を理解する(労働市場に対応する)

   日本で働く外国人が増えている。あなたの会社にも外国人がいるのなら、彼らがなぜあなたの会社で働いているのかを聞いてみよう。なぜなら、日本で働く外国人は、常に労働市場を意識しているからだ。

   外国人の考えにはあなたの考え方と同じ点もあれば、違う点もある。働くことへの意欲やきっかけ、目指すところで、何が同じで何が違うのかを理解しよう。

   その違いを理解して一緒に働くことができるのなら、あなたも労働市場を理解できるようになる。それはあなたが今の会社でもらっている収入額の妥当性を理解し、転職の可能性を理解できる手っ取り早い方法だ。

□自分の売上と費用を計算する(コストとしての価値を高める)

   去年1年間、自分がいくら稼いだのかを計算しよう。関わった売上がいくらなのかを計算して、そこから単純な原価を差し引く。商品販売だったら仕入を差し引けばよい。そうしておおよその粗利額を計算する。その粗利額と自分の年収を比較してみるのだ。多くの人はプラスだろうが、マイナスの人も20%くらいはいる。自分の売上と費用が分かれば会社の収益構造を知ることに対して本気になれる。

   もしあなたの仕事が事務や企画だったら、部署の人件費を合計して、全体売上に対する比率を計算してみよう。そして、社長がなぜそれだけの費用を払って、あなたの部署を存在させているのかを考えてみるといい。

お金を生んでくれるモノにお金を使う

□自分とモノにお金を使う(自分自身を資本としてとらえる)

   多くの人は、給与をもらって生活することが当たり前だと考えている。でも本当はそうじゃない。稼いだ分から生活費と次への投資を考えて生きることが当たり前なのだ。例えば米農家が、収穫したコメを全部お金に替えてしまうことはない。その前にまず、翌年の種もみを必ず残す。しかも、作付面積を増やしたいのなら、その分だけ多く残す。その余りで生活をするのだ。

   サラリーマンである私たちも、次への投資にまずお金を使わなくてはいけない。サラリーマン生活を続けるのなら、それは自分の知識や経験を増やすためにお金を使うことだ。サラリーマンを脱することを目指すのなら、例えば競売のワンルームマンションを300万円で買うために貯金をするとか、株を買うとかが考えられる。要は、お金を生んでくれるモノにお金を使うようにすることだ。

□退職金と60歳以降の収入を計算する(退職準備)

   退職金と再雇用の仕組みはややこしい。でも、人事部に知り合いがいれば、詳しく聞いてみるべきだ。

   まず退職金では、会社規模にもよるが意外なほどに幅がある。もし住宅ローンを一括して返済できると思っているのなら、それはずいぶん甘いかもしれない。大卒平均は2000万円くらいと言われているが、500万円~1000万円の企業だってざらにある。次に再雇用後の平均収入では、多くの会社で15万円から20万円前後となっている。

   一方で、60歳をすぎても毎月かかる生活費はそんなに変わらない。仮に生活費に35万円かかっていて、再雇用の収入が15万円だとすれば、20万円の赤字が毎月発生する。この赤字を退職金で補てんしていくのか、他の収入源を探すのかを考えなくてはいけない。今の会社に勤め続けていても、60歳以降は毎月赤字の生活が待っていると覚悟しなければいけない。覚悟すれば、あなたはきっと動きだせるようになるだろう。

□残業以外の収入源を持つ(複数の収入源を確保する)

   「カードを使いすぎたから、今月は残業を頑張ろう」といった考え方が通用する会社は確かにある。つまり残業した分だけちゃんと残業代をくれる会社だ。でも、もしあなたの勤務する会社がそういう会社で、あなたが残業代を小遣い的な副収入として考えているとすれば、そろそろやばい。残業代ゼロ法案は対象を拡大させる可能性だってあるし、そもそも会社側は残業させない働き方を模索しているからだ。「残業させるくらいならもう1人雇えばいい」と判断をする可能性も増えている。

   だから残業代ではない収入源を探さなくてはいけない。先ほど示した、自分とモノにお金を使う方法を読み返してほしい。

   以上、6つのことを実践できれば、会社の変化に合わせて自分自身の収入を確保し、増やせるようになる。どれか1つだけでも実践できれば、大きな成長のきっかけになるだろう。

(月刊『人事マネジメント』編集部/2014年3月号~2015年2月号連載「人件費の近未来~揺れる時代の再分配のあり方を探る~」セレクションアンドバリエーション株式会社の代表取締役・人事コンサルタント・平康慶浩著)

上場・中堅企業の人事・総務部門に多くのコア読者を持つ月刊ビジネス誌。専門性の高い著者・ベテラン記者らによる鋭利なコンテンツラインナップが評判。1991年創刊以来、これまでの取材先企業は1,000社を超える。本連載では月刊『人事マネジメント』掲載記事をJ-CAST会社ウォッチ企画として抄録し公開している。
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