2024年 4月 26日 (金)

「大学名差別を吹き飛ばす」簡単な方法 現状を変えるのはあなた次第

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   今回のテーマは前回に続いて大学名差別です。

   さて、前回、就活をめぐる言説について、以下の8点に整理しました。

1:大学名差別はそもそもあるのかないのか
2:大学名差別をやっている企業は大企業が中心か
3:大学名差別は受ける前から?それとも結果論?
4:大学名差別の線引きはどのあたり?
5:理工系技術職・研究職採用において、大学の偏差値は影響するのかどうか
6:地方大生が首都圏・関西圏で就活する際もマイナスに影響?
7:大学名差別は昔も今も変わらない?それとも変化している?
8:偏差値の低い学生はそれだけ不利になって当たり前?

   このうち、上から順に5点説明したところで文字数が尽きました。というわけで残り3点についてご説明していきます。

大学名差別、実は変化している?

電話一本で人生は・・・
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   まず先に7番目の「昔も今も変わらない?」からご説明していきます。

   就活・採用をめぐる言説でよくある落とし穴は、自身の経験談を中心に据えることです。

   経験談はそれはそれで貴重なのですが、問題は昔の話が今も通用する、と勘違いすること。実際には大きく変化しているわけで、特にこの大学名差別については激変しています。

   1990年代前半までは大学名どころか学部までこだわっている企業が多数ありました。

   『労務事情』2003年7月1日号の「内定模様の推移を読み解く 価値を失った『拘束』」(執筆者は採用・就職アナリストの斎藤幸江氏)には、バブル期の内定者拘束事情をまとめています。「大学ごとのリクルーターを利用した水面下での活動が行われていたのが実態」とあり、そして、リクルーターのいる大学はほとんどが難関大です。それはいいのですが、大学・学部名にこだわりすぎています。

   そのエピソードとして、内定者が足りない企業に就活に出遅れた優秀な千葉大生を紹介したところ、

「ダメだ。欲しいのは早稲田の商学部なんだ。政経でも法でも、慶應でもない。早稲田の商学部だ。誰かいませんか?」

   今なら、内定者が足りない時に千葉大にいい学生がいれば、早稲田の代わりでもそうでなくても飛びつく企業がほとんどでしょう。

   この流れが変わったのは1990年代後半からです。まず、就職協定が崩壊。ほぼ同時期にリクナビ、マイナビ、日経ナビがオープン、ネットの普及もあって、就活に欠かせない存在として定着します。

   就職協定が崩壊し、4年生4~5月ごろに内々定が出るスケジュールが定着すると、内定者拘束が消え、大学・学部へのこだわりも緩やかになっていきました。

   それに、ネットの普及により、企業はすぐバッシングされてしまいます。その点でも、大学名差別はよく言えば緩やかになったと言えます。悪く言えば、巧妙になったとも言えますが、大学・学部を絞り込んだうえで、というよりはもっと広く見るようになっていることは確かです。

地方大生は就活で不利?

   大学名差別が昔に比べ緩やかになった、という点で得をするようになった大学があります。

   それが6番目の「地方大生が首都圏・関西圏で就活する際もマイナスに影響?」です。

   結論から言えば、大学名だけで考えた場合、地方大生は得をします。なぜ、得をするのか?

   理由は簡単で、企業からすれば、多種多様な人材を採用するとき、出身大学をバラけさせるからです。

   このとき、地方大生、特に国公立大や伝統校の私大などは企業からすれば便利な存在です。何しろ、一定レベルの学力は担保されていて、首都圏(あるいは関西圏)の学生とは全然違うのですから。

   ここで、地方大生は有利ではない、とする専門家もいます。実際に、首都圏・関西圏の企業に内定した地方大生はそれほど多くはありません。ただ、その内定者数の少なさから「地方大生は有利ではない」と決め付けるのもどうでしょうか。

   そもそも、地方大生が首都圏・関西圏で就活をする学生の絶対数自体が多くありません。

   大学名をバラけさせる、という目的には合致していても学生個人が合わなければ企業側も落とすでしょう。

   この「地方大」「バラけさせる」という点でもっとも得をしている大学が秋田の国際教養大です。地方大ながら1年間の留学必須、4年卒業率48.8%(『大学の実力2015』データより)という低さながら教養が高い、よく勉強する、などの点が評価されて、大手企業などに就職が決まりやすい大学に成長しました。

大学名差別もあれば一発逆転も

   国際教養大については、あれだけの難関大だから別格、との反論もあるでしょう。元は2004年開学の大学です。わずか10年で各企業から高い評価を受けるようになったのは、留学が必須だからではありません。

   前回に難関大の学生が評価される理由として、「学力、読書量、人間関係、モチベーション」の4点を挙げました。

   しかし、これって、難関大生の専売特許なのでしょうか?そんなことはないはず。現に国際教養大の学生は現在のように注目されていない時期から、この4条件を満たしていました。だからこそ、就職が決まっていったわけです。

   ですから、8番目の「偏差値の低い学生はそれだけ不利になって当たり前?」という点について。

   それをあれこれ言う前に、「自分で4条件を変えたら?」と中堅以下の大学生、地方大生の方にはお伝えしたいです。

   学力や読書量を増やす努力はいくらでも個人でできるはず。人間関係も同様です。志望企業のOB訪問の対象者がいない、というなら、OBではなく社会人全般に切り替えるとか、同業他社まで探すなどすればいいだけです。

   地方独自の就活イベントだって探せばあります。私もよく出没していますし。

逆転のカギは電話にあり?

   そうは言っても、大学名差別からか、説明会に参加できない、とする学生も多いでしょう。本当に満席になった企業もあるでしょうし、他のナビ経由なら実は空席がある、などもあり得るのですがそれはさておき。

   説明会にどうしても参加したいのであれば、ともかく採用担当者に直接電話することです。そこまでやる学生は多くはありませんし、どのみちキャンセルが出るのですから、採用担当者側が折れる可能性は高いです。私が接した学生で、これまでの戦績は勝率7割。これで内定まで至ったケースもいくらでもあります。

   ただし、電話をする際は、「どうせキャンセルが出るんでしょ?」など、間違っても言わないこと。仮にキャンセルが出ても、そういう学生は意地でも参加させないようにするはずです。

   泣いて頼めとまでは言いませんが、あくまでも低姿勢に。それが基本です。

   この話、私は10年近く言い続けていますし、同じことを大学キャリアセンター職員や採用コンサルタントなどもよく話します。

   でも、できる学生とできない学生、どうしても分かれてしまいます。電話一本で変わるのですけどねえ。SNSに大学名差別だなんだと愚痴るよりは、まず電話。特別、難しいことを要求しているわけではありません、まず電話(大事なことなので2回リピート)。

   大学名差別の現状を変えるのも変えないのも、すべてはあなた次第です。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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