「あなた自身がクレーマーにならない」ためにできるコト

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   「理不尽で自己中心的」なクレーマーが増えている。インテリ型の「筋論モンスター」や、定年退職した団塊世代「シルバーモンスター」の増加も担当者を疲弊させている。

   また、情報化社会の到来も対応する側の余裕をストレスに変える。マスコミや世論は、企業や組織、行政機関、病院などの「組織」に対して厳しく、ひとたび問題が生じるとバッシングに走る傾向が強い。反面、「個人」はモンスターと呼べる自己中な人であっても、消費者、市民、患者という「弱者」の立ち位置。そこにインターネットの登場である。

「超リスク社会」の到来

自分を見つめ直すと・・・
自分を見つめ直すと・・・

   ネット時代の怖さは、瞬時に様々な情報を入手できるとともに、強力な情報発信(拡散)の手段となりうることである。特にスマートフォンにより、消費者が、ムカついたり不満を感じたりした瞬間に即電話できるとともに、何時でも内容を録音できる環境が整備された。

   さらに厄介なことに、些細なミスや対応の遅れがSNSを通じて瞬時に広まり情報が拡散する。「オセロゲーム」のように評価が黒に変われば「ブラック企業」の烙印を押され、倍返しならぬ「何万(千万)倍返し」となりうる。企業は、消費者がネットを通じてつながることで、以前とは比べものにならない圧力を受けるようになった。「腕力の強い弱者」の誕生である。企業・組織は社会性や公共性を意識して、弱腰にならざるをえず、クライシスに陥る可能性も否定できない「超リスク社会」の到来だ。

   異物混入や耐震偽装により、クレーム件数は急カーブを描いて上昇している。繰り返しになるが、その最大の理由は「グレーゾーンの拡大」であり、普通の人々の「モンスター化」だ。

   ある閑静な住宅街で、玄関先にクレーム担当者が幾人も順番待ちをしている光景を目にしたこともある。まるで、整理券を配らなければならない様相。このときの面談の相手は、60代の男性。まさに「クレーマー主夫」だ。

   また、いくつもの携帯電話をもち歩く主婦もいた。彼女もクレーム常習者である。ある日、むしゃくしゃしてクレームをつけてみたら、思いもよらず「お詫びの品」が手に入り、それに味をしめてクレームを繰り返しているうちにモンスターになってしまったようだ。

ある飲食店の女主人の告白

   いい大人がなにをしているのだろうか? 夫や子どもに、こんな姿を見られたら......。しかし、さらに問題を複雑にしているのは、クレーマーの「負の連鎖」がはじまっていることである。ある飲食店の女主人は、こう告白した。

「昔と比べ嫌な客が増えた。どんなに不快な思いをしても、お金のためだと割り切って笑顔で接している。しかし、自分が客の立場になると、従業員の接客態度からコールセンターのオペレーターの口の利き方まで、腹が立つ。ほんの些細なことにも声を荒げたり、ムキになってつっかかったりしている。自分でもイチャモンだとわかっていても、黙っていられない」

   もはや日本はクレーマー列島、モンスター大国。いったい、どこで歯車が狂ったのだろうか?

   たとえば、教師にくってかかるモンスターペアレント。学校で子供が理不尽ないじめやえこひいきに合わないようにリスクヘッジする保護者。しかし、学校で理不尽な扱いを受けることがなくなったとしても、大人になれば厳しい競争社会が待っている。実社会に出たとき、そのギャップの大きさに押しつぶされ、簡単にキレたり、クレーマーになったりしないか心配である。事実、こうした心のアンバランスは、理想と現実のギャップによるところが大きい。

   口幅ったいようだが、私たちの中にもモンスターが棲みついているのではないだろうか?

   何かのきっかけで「どうしてくれるんだ!」「どう責任をとってくれるんだ!」「誠意を見せろ!」などと、凄みをきかせて、自分の要求を通そうとする。

   こうした社会だからこそ、日々、自分の内面をしっかりみつめ、心をコントロールしなければならないのだと思う。最大のクレーマー対策は、自分自身がクレーマーにならないことなのかもしれない。(援川聡)

援川 聡(えんかわ・さとる)
1956年生まれ。大阪府警OB。元刑事の経験を生かし、多くのトラブルや悪質クレームを解決してきたプロの「特命担当」。2002年、企業などのトラブル管理・解決を支援するエンゴシステムを設立、代表取締役に就任。著書に『理不尽な人に克つ方法』(小学館)、『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。
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