2024年 4月 26日 (金)

日経の企業報道スタンスが変わった 「ストーリー性のあるニュース」重視

ストーリーそのものが「社会性」

   このほか、北九州市で美容室「バグジー」を多店舗展開する九州壹組は、従業員満足度(ES)の向上を経営の要に据え、人材流出が激しい美容室業界にあって離職率5%以下というストーリーが紹介された。久保和也社長が打ち出す合言葉は「利より信」。従業員の誕生日には自ら100行以上の手紙を書く。久保社長はトヨタ自動車、三菱東京UFJ銀行、ローソンなど大手企業の人事研修に講師として招かれている。2012年には経済産業省から「おもてなし経営企業」に選ばれ、サービス産業生産性協議会(東京都渋谷区)から「ハイ・サービス日本300選」も受賞した。

   これら3つの例は、いずれも中小企業。しかも産業廃棄物処理業、お好み焼き屋、美容室と、ストレートニュースではメディアに取り上げられにくい業種が並んだ。ところが経営トップが信念や哲学を持って逆境に挑み、さまざまな困難を克服して成功を収めている。そのストーリーそのものが「社会性」であり「ヨソにない特徴」となっている。中小企業は新製品、新サービスのPR意識が強く、それが広報と勘違いしている経営者が多い。日経の「ストーリー性のあるニュース」提供は、経営の本質を伝える取り組みとしても興味深い。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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