もっと中小企業報道を 質量ともにバランスが取れていない

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   「記事のような広告」が増えている。新聞や経済誌の企画特集や特別広告をはじめ、テレビ番組に情報を仕込む広告、インターネット上のブログ体験口コミ型広告などがそれだ。インターネット上で欲しい情報を入手する傾向が強まり、とくにタレントブロガー、有名ブロガーは引っ張りだことなっている。また、ネット上で火がついた話題をテレビ局が取り上げるケースも多く、ネット→テレビの情報の流れが加速している。

   ブログ体験口コミ広告は、よくある例では料金も1ブロガーあたり2万円程度(ほかにプロジェクト管理費などがかかる)と比較的安く、中堅・中小企業の利用も広がっている。

女性ブロガー抱える広告会社

   ある中堅食品メーカーが都内のホテルで、新製品発表会を開いた。会場には女性ブロガーが20~30人出席し、新製品の写真をさまざまなアングルから撮影していた。試食も行い、担当者に女性の立場から質問する。一見、記者には見えないのだが、行動は記者そのもの。帰りには新製品のお土産をもらって満足げな表情。翌日にはインターネット上に、写真付きの体験口コミ型ブログが掲載される。この中堅食品メーカーの取締役は「女性が情報を発信してくれると、影響力がある。また活用したい」と話す。このブログ広告を受注した広告会社は、約600人の女性ブロガーを抱えているという。

   こうしたブログは、「広告」とは全く書いていない。アクセスの多いブロガーもおり、影響力もある。これを見て、動き出すのがテレビ局だ。「ネットで話題の○○」という切り口で、テレビ局の制作プロダクションがブロガーにアプローチする。ブロガーは広告会社に連絡する。制作プロダクションと広告会社がつながり、「番組内で紹介してくれたら、いくら支払う」という広告に発展する。このようにして、テレビ番組は隠れた広告がかなり仕込まれている状況になっている。

メディアにとっての「両刃の剣」

   ブロガーを数多く抱える広告会社は、従来の広告会社と違って自らの情報発信力を持つ。また、既存の広告代理店とはあまり付き合いのない広告主を掘り起こしているケースが多い。これに目を付けるのはテレビ局だけではなく、活字メディアも同様だ。例えば、新聞の「生活・家庭面」に広告を潜り込ませる。かくして、インターネット上のブログから始まった広告がテレビ、活字メディアに広がり、「記事のような広告」が増えてきた。中堅・中小企業にとって、費用がかかるとはいえ、情報発信手段が拡大することは決して悪いことではない。ブログ体験型口コミ広告は、消費者に直接訴求できるので、これからも拡大するだろう。

   一方、メディアにとっては、「記事のような広告」が増えると、記事の信頼性が低下することにつながりかねない。広告収入が増えるのは好ましいことだが、両刃の剣といえる。中小企業広報を支援する立場から言えば、広告ではなく、もっと中小企業報道を質量ともに増やすのが先決ではないかと考える。大企業は約1万社。これに対し中小企業は385万社と99%を超える(2012年、中小企業庁調べ)。報道のバランスが取れていないと思うのは私だけだろうか。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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