誰も注意しない「残酷な就活のテーゼ」 その「マナー」では落とされる

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   今日のテーマは「やらかしマナー」です。

   学生本人からすれば、しっかりしている、あるいは、これくらいは問題ない、と考えているマナーがあります。

   しかし、社会人からすれば「アウト!」となるのが「やらかしマナー」。

   その実例をご紹介していきます。

カバンの斜めがけ、大丈夫?

大丈夫?鼻毛は・・・
大丈夫?鼻毛は・・・

   例年であれば、まず盛り上がらない6月開催の合同企業説明会。今(2015)年は、就活後ろ倒しの影響で盛り上がっています。

   私も見学に行きましたが、ここで目立つのが、カバンの斜め掛け。

   ビジネスマンも電車の移動ではよくやっていますし、私もそうです。重いカバンだと、手で持つよりも、肩にかけた方が楽ですし。

   しかし、この斜め掛けのまま、合同説明会に参加したり、企業を訪問したりするとどうなるでしょうか。

「それだけで落とすことはないですが、プラスかマイナスか、で言えば、大きなマイナスですね」

とは、商社の採用担当者。

「移動中には僕もやります。ただ、得意先を訪問するときは、近くの駅まで来たら手で持つようにしています。それが、相手に対する礼儀ですし。肩からだらっと下がっているのは、格好いいとは思えません。そのことに気付いていない学生は、他のこともできていない可能性が高いです。うちを受けても選考が進むか、と言えば微妙です」

カバンの大きさ、TPOに合っているか

   カバンと言えば、合同説明会では、大きなカバンでうろつく学生も目立ちます。さすがにキャリーバッグを持ったままの学生は見かけませんが、大きめのスポーツバッグやビジネスリュックはちらほら。地方から来た学生に話を聞くと、キャンプに行く途中・・・ではありませんでした。

「コインロッカーに預ける余裕がなかった」
「コインロッカーのお金がもったいなかったので。さすがにキャリーバックは預けましたよ」

とのこと。

   学生からすれば、節約できるところは節約したいのでしょう。しかし、

「コインロッカー代、せいぜい数百円か1000円も行かないですよね?そこをケチるところが理解できません。大きなカバンで合同説明会をうろつかれると、その学生1人のために小さなブースが1人入らなくなってしまいます。注意するほどでもないですが、他人を思いやれないのか、とがっかりします」(機械)

と、厳しい視線が向けられています。

   だったら、合同説明会以外、たとえば、企業説明会や面接などではどうでしょうか。

「合同説明会と同じで減点材料です。大きな荷物を持ったままでうろつくことが他者からどう見られているのか、に考えが及ばない人、と捉えてしまいます。それに、うちで預かるにしても、保管をどうするのか、などそれだけで手間になります。1000円もしないコインロッカーに預けないだけで評価が変わる。それが理解できない学生はうちでは落とします」(機械)

大学の延長?のペットボトル

「大学での講義の延長のつもりかもしれませんが、説明会で、机の上にペットボトルを置いたままだったり、話を聞きながら飲んだりする学生はマナーがひどい、と思います」

とは、人材会社の採用担当者。

「でも、こちらとしては学生向けサービスを展開していることもあって、下手に注意できません」

   このペットボトル、私もよく目撃します。大学教員も注意していないようで、学生にも悪い、という意識が全くありません。

「なんで、それがマナー違反になるのですか?」

と、真顔で聞き返されたこともあります。いや、一応、目上の人に対して失礼になるわけでさ、と説明すると、

「そういうの、堅苦しいんですね。くだらないと思いますが」

と、言い返されてしまいました。でもねえ、就職したらそういう堅苦しい場面、山ほどあるのだけど。

鼻毛は5割引き

   男子学生で意外と多いのが、鼻毛。

   格好いい学生も鼻毛が出ているだけで格好悪いですし、もっさりした学生はさらに不潔感が増すだけです。

   就活は、顔だけで決めているわけではありません。とは言え、

「鼻毛が出ていることなど、出かける前に鏡で自分を見れば気付くはず。そんな簡単なことに気付かないようだと、仕事も肝心なところで手を抜きそうで怖い」(商社)
「ひげと鼻毛のチェックは基本中の基本。気付かないならご縁がなかった、というだけです」(流通)

   男子学生の中でも、理工系や男子校出身者にこの鼻毛学生は多いようです。共学校出身者や女子学生の多い学部だと、異性の視線にさらされる機会も多く、自然と鼻毛にも気遣うようになるようです。

ワイシャツの下は大丈夫?

   男子学生で言えば、ワイシャツの下もやらかしてしまう学生がときどきいます。

   具体的に言えば、カラーTシャツや白地でも派手なイラストなどがプリントされているTシャツ。ワイシャツの色が白だと、かなり透けて見えます。

   特に、赤や青など原色のカラーTシャツだと、白のワイシャツを着ている意味がないほど、目立ちます。

最後の質問者の振る舞い方

   合同説明会や企業説明会だと、全体説明が終了したあと、個別に質問する学生が出てきます。

   もちろん、せっかくの機会ですから質問しないよりもした方がいいに決まっています。

   ところが、

「質問に夢中になって、あとの学生を気遣わず、長々話す学生がいます。あれはマイナスですね」(商社)

   では、最後の方がいいか、と言えばそういうわけではありません。

「合同説明会で最後の方だと、片づけがあります。あまり、長々話し込まれては片づける余裕がなくなってしまいます」(人材)

   長いようだと、人気企業、かつ、遠慮ない性格の採用担当者だと、片づけながら対応します。

   さらに長いと、人気企業で学生にも気を遣うタイプの採用担当者でも、片づけを始めます。

   これは、要するに、

「ぼちぼち片づけとか、他の用事があるから、もう切り上げてくれないかな」

というサインです。

   ところが、

「気付かない学生は本当に気付かないですね。長く話すことで印象付けようとしているのかもしれませんが、完全に逆効果です」(マスコミ)

「やらかしマナー」の学生への本音

   ここまでご紹介してきた「やらかしマナー」、実は全部該当していた学生が合同説明会にいました。

   カバンは斜め掛けのビジネスバッグと、大きなスポーツバッグ。頭はボサボサで、ひげは何日剃っていないのか、というほどの無精ひげ。鼻毛も出ている、というレベルでなくもっさり伸びきって、何十日、放置しているのか、というレベル。

   ワイシャツの下は、赤のTシャツで放送禁止用語がプリントされているのが透けて見えました。

   しかも、ネクタイは完全に結べていません。

   本人は普通のつもりなのでしょうけど、異様な雰囲気を醸し出しており、他の学生も振り返るほどでした。

   私は彼に声を掛けたわけではありません。しかし、こっそり、観察していると、ある企業ブースでは、20分近く質問したか、と思えば、別の企業ブースでは、

「僕、こんな業界で働く気ないですけど、とりあえず話を聞きに来ました」

と言って、相手をイラつかせるなどしていました。

   私が残酷だな、と思ったのは、このやらかしマナーの学生に対して、どの採用担当者も注意しなかったことです。

   あとで、こっそり、彼が訪問した企業ブースに取材すると、

「明らかにうちでは落とす学生です。落とす以上は、彼は採用対象の学生ではなく、ユーザーと同じ扱い。あれこれ言う必要はないでしょう」(機械)
「注意して、聞き入れるタイプではないですよね。なら、あれこれ話をして恨まれるよりも、何も言わない方がいいでしょ?」(ホテル)

   この学生ほどひどくないにしても、注意はされない。これが、就活の残酷なところです。さて、あなたは大丈夫ですか?(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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