2024年 4月 17日 (水)

故堀場雅夫氏「珠玉の語録」 「ブラック企業」時代に「喝!」

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   排ガス測定器が世界シェアの8割を誇るという堀場製作所。その創業者で、「元祖ベンチャー経営者」の堀場雅夫氏が亡くなられました。享年90歳の大往生でした。その起業から、晩年に至るまで、常に中小企業経営者としての魂を置き去りにすることなく歩み続けた堀場氏。以前から個人的には、中小企業経営者の鑑としてその経営姿勢から多くの示唆をいただいてきました。今回は堀場氏を偲んで、その理念や語録から中小企業経営のヒントを探ってみたいと思います。

   堀場氏の企業経営のスタートは、大学在学中の起業という今で言うところの学生ベンチャーの走りでありました。戦時中、京都大学で研究をしていた氏は終戦と共に研究室を失い途方にくれ、そんなどん底の中から「自分のやりたいことは、自分でやればいい」と20歳で堀場無線研究所を立ち上げたのです。

「おもしろおかしく」

「おもしろおかしく」の社是は今も生きている(堀場製作所HPより)
「おもしろおかしく」の社是は今も生きている(堀場製作所HPより)

   「世のために何ができるのか、自分は何がしたいのかが仕事の基本」であるべきと、その後も常に社内外に向け言い続けてきた氏の信念は、自身を成功に導いた起業動機に深く根ざすものであったと言えるでしょう。この信念は起業をめざすビジネスパーソンたちにとってもまた、事業の成否を分ける重要な指針となるべき言葉でもあるのです。

   そんな堀場氏が会社を軌道に乗せた後、その経験を元に掲げた堀場製作所の社是は、「おもしろおかしく」。この社是は、人間は自分が楽しいと感じることには苦労を苦と思わず時間を忘れて取り組み成果につながる、という自身の考えに根ざしています。社員がおもしろおかしく働くことができ、その結果として会社を成長させることが経営者の責務である、ということを言い表したものでした。

   「仕事というものは、人生の中で8割から9割という大変大きな比重を占めています。そんな大きなエネルギーを費やすものがつまらなかったら、悲しいじゃないですか。『おもしろおかしく』を実践すれば、成果や収益はその後についてくるのです」

   晩年のインタビューで、自社の社是についての考え方を尋ねられた堀場氏はこう答えています。

   実はこの社是には、もうひとつ時代の先駆け的な要素が含まれていました。それは今で言うところのワークライフバランスの考え方です。「しっかり休んで英気を養えば仕事にも必ずいい影響がある」と、1973年当時、「土曜半ドン」が精一杯だった高度成長の時代の大企業をしり目に、いち早く完全週休2日制を導入したのは同社でした。その後は週休3日制導入の検討もはじめ有給休暇とは別の休暇制度を導入するなど、ワークライフバランス実現では常に世間の一歩先を行く存在として今もあるのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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