2021年 9月 25日 (土)

なんとも「引っ越し障壁」高き国 住まいにせよ働き場所にせよ

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辞めるなら全額返済しろと

   実際には、知り合いから家具をもらったり、フリマアプリで中古品を購入したりで、そこまではかかかりませんでした。しかし、部屋のサイズを測ったり、物を送ってもらったり、届いた物を自力で設置したりと、うんざりするほど手間がかかりました。

   とにかく引っ越しに対する障壁が高いのです。海外で暮らす人のように「気分を変えるために、何となく引っ越し」みたいなことはできません。

   そんな経験をして一つ思ったのは、「日本人が転職できないのと似ているな」ということです。

   私がかつて働いていたある日系企業では、社員は会社から低い金利で自動車ローンや住宅ローンを借りることができました。市中金利よりも低金利で、たくさんのお金を借りられるので非常に有利です。しかし、落とし穴があります。会社を辞めるとなると、全額耳を揃えて返済しなくてはならないのです。

   普通の銀行に借り換えをすると、金利が上がってしまいます。低利をいいことに人よりも多くお金を借りている場合もあるでしょう。月々の返済額が跳ね上がり、生活が破綻する恐れがあります。

   また、「勤続30年超えると退職金大幅アップ」なんて会社もいまだにあるため、そのにんじんを目標に走り続ける人もいます。勤続30年を超えた50過ぎのおっさんに転職先はありません。

   日本の大企業の社員が転職できない理由の一つに「他の会社で使えるスキルがない」というのがあるのですが、実際には、スキルの問題よりもこういう金銭面の障壁がいちばん大きいのではないかと思います。大企業で長く働くと、転職した途端、金銭的に破綻する可能性が高まりそうです。

   制度的にも、退職金前払い制度を設ける会社が増えて来たり、マインド的にも、住宅ローンで家を買わない人が増えてきたりしています。そうやって、動ける自由を確保することで、仕事がらみの自殺なんかも減っていくのではないかと思うのです。

   というわけで、日本の賃貸住宅も、もうちょっと簡単に出たり入ったりできるように、家具付きを標準にしてほしいのですが、大家さん的にはあまりハッピーなことではないので、もう少し空室率が高まるまで待つ必要がありそうです。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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