2024年 4月 27日 (土)

人気上々タイのコールセンター 「悠々」「猛烈」どちらも選べ

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   海外就職の求人票で「語学力不問」と書いてあるところはだいたい怪しいのですが、本当に語学力不問で働けるところがあります。それが、コールセンター。

   今回は、バンコクで日本人を雇い、日本人向けのコールセンターを運営しているマスターピース・グループ株式会社の石川さんにバンコクのコールセンター事情を聞いてみました。

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給料倍以上の東京より応募多い

   同グループでは、バンコクで120人以上の日本人を雇い、日本語のコールセンターを運営しています(それ以外に中国、フィリピンでも現地人を雇ったコールセンターをやっています)。

   日本語のコールセンターの仕事は、日本在住日本人のお客さんからかかってきた通販の電話や問い合わせなどの電話を、バンコクコールセンターの日本人スタッフが受け答えするというものです。これなら、日本語以外の語学力は不問です。

   いきなりですが、給料を聞いてみると「3万バーツ(約9.5万円)」。これに4500バーツ相当の住居手当が支給されるので、実質11万円くらいの給料ということになります。バンコクならそれなりの生活ができる給料ですが、額面で考えると日本のアルバイトレベルです。この条件で、どの程度応募があるのでしょうか?

「実は、給料24.5万円の東京勤務よりも応募が多いんです。離職率も低い。しかも、日本のコールセンターで募集するよりも優秀な人が集まりやすいのです」

   最初は、バンコクと日本の物価差を考えて、コストダウンのためにつくったそうなのですが、最近は優秀な人が集まりやすく辞めにくいという状況になっているのだそうです。

「日本の地方都市にもコールセンターがあるのですが、アルバイトばかりで入れ替わりが激しく、長期間・フルタイムで働いてくれるタイのコールセンターは非常に重宝しています」

   クライアントからも高い評価をもらっており、事業として好調のようです。

ある意味グローバルスタンダード

「特に、最近『管理者候補コース』を作ったら、さらに人が集まるようになりました。」

   3万バーツの給料で9時~5時の残業なし勤務で無理なく働く人に加えて、マネージャーになってガンガン出世していく「管理者候補コース」もあるというのです。入社して1年経ったらスーパーバイザー。日本人やタイ人スタッフをマネージメントしていかなくてはなりません。

「かなりハードですが、昇給も早いです。タイだけではなく、フィリピンの副センター長をやっている人なんかもいます」

   つまり、この会社では、そこそこの給料をもらって、残業なしで、仕事以外の時間を楽しむ人と、思いっきり働いて上を目指していく2つのタイプの働き方ができるのです。これって、アメリカや欧州の働き方と似ていますね。

   一般社員は、残業なんて一切しない。言われた仕事をやり、応分の給料をもらう。5時きっかりに退社して、河原でビールかなんか飲みながら夕日を見たりして楽しんでいる。一方で、一部の社員は、日本の社畜なんて目じゃないくらい働きまくり、ガンガン上を目指していく。ある意味、グローバルスタンダードな働き方です。

「ちなみに、普通の働き方をしている人も、英語学校やタイ語学校に通うことなんかもできるので、まずスキルを身につけて、それからキャリアアップを目指す人もいますね」

   こういうコールセンターの仕事の話になると「将来のキャリアアップは?」という話になりますが、そこは目指さないと割り切ってしまえば悪くない選択肢かもしれません。給料を上げたければ、キャリアアップコースに社内異動できるというのもポイントです。

   ただ、ひとつ怖いのが、このコールセンターの業務自体がなくなってしまうことです。

「今のところ、業務は拡大しています。また、日本語が話せるタイ人や中国人もたくさんいますが、日本人のお客様向けのコールセンターはネイティブにしかできません。日本人のお客様が非ネイティブの日本語に慣れていないからです」

ということで、すぐに仕事がなくなることはなさそうです。

   もちろん、リスクもあります。一番大きいのは、コールセンター業務だけをやっていた人が、タイでも日本でも転職先があるのかどうかが問題。まあ、それは日本でバイトや単純作業をしている人にも言えることです。もっというと、大企業で管理職をやっているような人も、です。

   そこを割り切り「安い給料でのんびり暮らす」「現地で学んでキャリアアップを目指す」「同社でバリバリ働いて給料アップを目指す」といった選択肢を自己責任で選べる人であれば、なかなか幸せな生活がおくれるのではないでしょうか。

「ちなみに、24.5万円の東京勤務を打診しても拒否する人がたくさんいます。給料が安くても、バンコクで生活したい人は結構いるんです」

   働き方の選択肢が多いというのはよいことです。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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