どこでもなんでも「測る」会社 【知っておいてもいい企業7】

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   「知っておいてもいい企業」シリーズ7回目は、「測る」会社です。

  • 「測る」はモノづくりの基礎だから重要
    「測る」はモノづくりの基礎だから重要

ゆるアニメと謎解き説明会で

   2016年、創業100周年を機にタケモトデンキから改称したハカルプラス(大阪市淀川区)。2015年には、ゆるいアニメ「Peeping Life(ピーピング・ライフ)」とコラボ。社長も監修に加わったそのアニメには、「いつまで、中小やってんだよ」のセリフも登場。関係者の度肝を抜いたそうです。

   当コラムでも、「あの『自虐就活アニメ』企業を直撃 創業100年企業のぶっ飛び自社アピール」(2015年3月30日)で取り上げました。コラボアニメは、今でもYouTubeなどで確認できます。

   同社は従業員数235人と規模は小さいですが、配電盤計測器などの計測システムに強みがあります。他に食品メーカーの計量システム機器、生コンクリートの計量機器なども展開しています。

   意外なところでは、福祉機器。介護施設では入居者の起き上がりの観察も重要です。間違ってベットから落ちることもあります。といって四六時中ずっと見守っているわけにもいきません。そこで、同社が開発したのが誤検知の少ない起き上がりセンサーです。計測機器の開発・製造という強みを活かして、こうした製品も開発したのでしょう。

   2016年までは「謎解き説明会」を実施していました。2017年は、この説明会の前に、理系向けの「はかる装置開発インターン」と、「リアル営業体験インターン」(どちらも1日)を実施。後者では「本インターンではパワハラに近い発言やアクションを一部演出に使用しています」「高圧的な人間が苦手な方、心臓に疾患のある方、人に怒られることで悪化するおそれのある症状をお持ちの方、妊娠中の方、ご高齢の方はご遠慮ください」などの注意書きあり。相変わらず、飛ばしています。

   謎解き説明会については、

「今年は3月から実施。2月には公表できる予定です。なお、今年からは従来の内容に加えて、VR(バーチャル・リアリティ)も導入する予定ですのでご期待ください」(経営企画室新卒担当・川上めぐみさん)

凍ったバナナで釘を打つ

   工業製品を輸出することで利益を出している株式会社ニッポン。では、工業製品の輸出先はどこでしょうか。

   アメリカかもしれませんし、アジア、ヨーロッパかもしれません。南米のジャングル地帯で使われることもあれば、砂嵐が吹き荒ぶ砂漠地帯かもしれません。どんな環境でも使用に耐えられるかどうかを測定する、それが環境測定器です。

   この環境測定器で世界トップシェアを誇るのが、エスペック(大阪市北区)。世界シェア30%、日本国内では60%のシェアを誇り、2014年には経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されました。

   同社は東京証券取引所1部上場企業で、従業員数は単独で821人、平均年収は711万円(43.4歳)という超優良企業です。ところが学生からすれば、そんなことなど知る由もありません。

   そこで、というわけではありませんが、同社のインターンでは、凍ったバナナの釘打ち体験があります。小型の環境測定機器を使い、バナナを凍らせます。マイナス40度の世界を再現する測定機器は当然ながらバナナを凍らせ、釘を打てるほどにします。

   もとは中学生向けの企業見学会に導入し、好評だったため、同社の人事グループ・今城亨さんが2015年から大卒の採用活動でも実施。今年も、インターンで展開予定だそうです。凍ったバナナで釘を打ってみたい学生は参加してみてください。

   同社は、ワークライフバランスのサイトを立ち上げるほど、女性の働きやすい環境を整備することに熱心な企業でもあります。

   堀場製作所(京都市南区)は、本社が京都にあり、同志社大、立命館大、京都産業大などの大学生にやたらと人気があります。それも、業界研究を進めて「あえて、グローバルニッチ狙い」「知名度の高さより安定感」などと話す学生が志望する模様。大企業・有名企業狙いの学生でも、人気の高さにつられて同社を志望するというパターンがよくあります。

   同社は、自動車エンジンの排ガス測定装置で世界シェア80%と、他社を圧倒するシェアを持ちます。東証1部上場企業でもあり、優良企業であることに違いありません。

   学生によっては、本社は大きすぎて無理だから、と子会社の堀場エステック(京都市南区)を狙う学生もいます。こちらは流体制御機器などに強みがあります。

   堀場製作所の社是は「おもしろおかしく」。海外売り上げ比率が約70%もあり、独特の文化を持つ企業でもあります。

食分野も、ナノの世界も

   計量測定器、というよりも、はかりの老舗企業がイシダ(京都市左京区)。産業用の計量測定器は国内80%、商業用約50%と、他社を寄せ付けないトップメーカー。

   スーパーのPOS装置や包装装置なども同社は手がけています。それもあってか、同社の採用サイトでは「なぜ、イシダは食のインフラと呼ばれるのか」「ポテトチップがあなたに届くまで」などのコンテンツを用意しています。

   同社も2月に、東京、京都、滋賀、大阪で「BtoBソリューション営業体験インターン/プレゼン講座コース」などを展開します。

   ときには見えないものも測定する必要があります。ミツトヨ(川崎市)は精密測定機器のリーディング企業。1ナノメートルまで測定します。

   日吉(滋賀県近江八幡市)は水質検査など環境分析・測定に強みのある企業。なんと、1兆分の1グラムまで計測する技術力を誇ります。

   測定関連機器の企業は、たとえ企業規模が大きくても、まず表には出てきません。そのため、知名度が極端に低い企業ばかりです。

   しかし、高い技術力があるからこそ、日本のモノづくりを支えてこられました。今後も、こうした企業が力を持ち続ければ、日本のモノづくり企業が、ひいては日本全体がそうそう落ち込むこともないのではないでしょうか。

   最後に、「測る」企業の力強さの象徴として共和電業(東京都調布市)をご紹介しましょう。同社は東証1部上場、平均年収は679万円(40.5歳)。ひずみゲージとその応用計測機器でシェア40%を占めています。

   同社の社是は測定機器関連企業のプライドを言い表しているように感じますので、それを紹介して本稿の結びとします。すなわち、

「大会社たらんよりは最良の会社たらん」

(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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