文章のリズムを意識して書く 【エントリーシート1】

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   私にとっては、学生が書いたエントリーシートの添削にいそしむ季節となりました。そこで、しばらく「読むだけで変わるエントリーシート」講座を開講します。その第1回として「文章のリズム」について話してみたいと思います。

文の長さ・文末表現・文体に気をつける

リズムよく!
リズムよく!

   文章を書き慣れていない学生は、文章のリズムといわれても何のことか分からないでしょう。結果として、読みづらいエントリーシートになりがちです。まず、リズムとはどういうことかを理解しましょう。ポイントは、(1)文の長さ、(2)文末表現、(3)文体の3点。

   (1)文の長さについては、要するに適度に短くしようね、ということです。70~80字、あるいはそれ以上の文を書く人がいますが、それは長すぎ。学生のエントリーシートでも、よく見かけます。

   【例1】社会人と合同のサッカーサークルに入っているのですが、チームに必要な存在となるためにも、練習の準備や後片付けを率先して行うように意識しており、チームが高齢化してしまい活気がない、と感じたので普段から練習でも反省会でも盛り上げ役に徹するようにもしています。(126字)

   頭から終わりまで126字の1つの文で書かれており、読むのにかなり骨が折れます。では、文を短くすると、どうでしょうか。

   【添削1】社会人と合同のサッカーサークルに入っています。チームに必要な存在となるため、練習の準備や後片付けも率先するようにしました。チームの高齢化もあり、普段の練習や反省会などでは盛り上げ役に徹するようにしています。(103字)

   元の1つの文を3つに分けました。23字+38字+42字で103字。これだけでもかなり読みやすくなります。

   1文を何文字以内にするといいのか、と聞かれることがありますが、ルールがあるわけではありません。長さをどれくらいにするかはその人次第。1つの文が長くなりすぎないよう、適当に区切ることで全体が簡明になり、読みやすくなります。

文末が単調ではいけない

   続いて(2)文末表現について。まずは例文をどうぞ。

   【例2】今日は晴れていました。小田急線に乗りました。次にリムジンバスに乗りました。羽田空港に着いた後、チェックインをして岡山行きのANA便に乗りました。岡山空港に到着したとき、東京より少し暖かいと思いました。そのあとバスに乗り、就活イベント会場に向かいました。

   次にそれを書き改めたもの。

   【添削2】本日は晴天。小田急線、リムジンバスと乗り継ぎ羽田空港へ。ANA便で岡山に向かう。到着した空港では、東京より少し暖かいと思った。バスで就活イベント会場へ。

   例1は文末表現がくどい。「~ました」を何度繰り返すのか、といらいらします。こういう文章、小学生の作文にありがちです。就活生なら大丈夫、と言いたいところですが、そこそこ見かけます。

   「~いました。~乗りました。~乗りました。~思いました。~向かいました」――これでは、いくら内容がよくても、文章のリズムが悪くて魅力が伝わりません。

   文末表現は、体言止めを織り交ぜて、上手に変化をつけていくことをお勧めします。

   最後に(3)文体について。基本的に、文体は敬体「~です、~ます」調か、常体「~だ、~である」調か、どちらかに統一しましょう。

   一般的に、敬体(です、ます調)は手紙や顧客に説明をするための解説書などに用いられます。常体(だ、である調)は、多くの社内文書のほか評論文、新聞・雑誌記事などに使われます。小説の多くも常体で書かれています。ただし、例外はいくらでもあります。敬体の中に常体が交じっていることもあります。

   某評論家(二世代くらい上の私の先輩)は、「(評論に)敬体を使うと、イヤミにパンチが利いて効果的です」と書いていたような気がします。

   就活生に対しては、とりあえず、

「常体のほうがさくさく書けるし、文字数も稼げるよ。ただし、敬体で書いても問題はないよ」

とアドバイスすることにしています。

   ちなみに私は、書籍は常体で、新聞・ネットのコラムは敬体で書いています。ええと、別にイヤミを強調したいわけではありません(力説)。

「文末を揃える」とは?

   ときどき文体と文末表現を混同される方がいます。私が「文末表現を適度に変えたほうがいい」と話すと、学生から、

「小学生の時、文末を揃えるように指導された。それをいまさら変えろ、と言われてもなかなか変えられない」

と、抗議のメッセージをいただいたことがあります。え? そうだっけ?

   文体を揃える、という話はよく聞きます。と、いうか、作文教育の基本です。しかし、文末を揃える、というのは初めて聞きました。

   昔から「地獄の沙汰も金次第」なんていいますが、現代は「喧嘩の沙汰はグーグル奉行」といいます(たぶん)。そこで、グーグルで検索をかけてみました。

「作文 文末 揃える」39300件
「作文 文体 揃える」77100件
「作文 文末 揃えない」40100件
「作文 文体 文末」55800件

   「揃える」のは「文末」が39300件、「文体」が77100件。よって、「文体」が多数ということで、本法案は可決されました(意味不明)。

   ま、グループディスカッション指導でも「多数決で判断しないように」とよくいいます。それに、グーグルのヒット件数だけでは納得感の薄い方が多数でしょうから、もう少し詳しく説明しましょう。

   「作文   文体   揃える」のヒット項目のひとつに、文部科学省が制作した「海外子女教育、帰国・外国人児童生徒教育等に関するホームページ」の作文指導のページが出てきました。その「10‐6【よい文章を書くための15か条】」の中の「初級」の第5か条に「文末の文体を揃える」とあります。

   また「中級」の第9か条には、「体言止めを使いすぎない」。さらに「上級」の第13か条。ここ、注目です。

「文末の表現を多彩にする」

   ほらね(ドヤ顔)。というわけで、「文末を統一したほうがいい」という学生の指摘は、おそらくは、「文末の文体を統一したほうがいい」の記憶違いだと思われます。

   以上のように、文章のリズムについては、文の長さ、文末表現、文体の3点を意識して書くと、ぐっと読みやすくなります。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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