日本全国、さまざまな「方言」がある。「あたたかみを感じる」「女の子が使っているとカワイイ」などと人気で、独特の言い回しやイントネーションはメディアでも取り上げられる。日本の文化といえるものだ。そんな方言だが、同僚や取引先の相手が使っていたらどう感じるだろうか――。社会人になったら、標準語に矯正すべきかそのままでもよいか。新社会人を迎える人には、悩みの一つかもしれない。「営業職ではないし直したくない」ふだん、友人同士であれば気にならない方言も、社会人になると気にってくるもの。2017年2月26日付のQ&Aサイト「教えて!goo」には、「上京した時、方言は直すべき?」という投稿が寄せられた。この春から東京で就職するという関西出身の投稿者。就職先の上司から「標準語に直すべき」と、言われたという。投稿者は、「生まれも育ちも関西で、関西弁が標準語かつ母国語のように好きな私にとってはなかなかつらい言葉です」と受け入れがたい様子。「確かに標準語のほうが、敬語は自然です。けれども、関西弁は関西弁なりにきちんと敬語はあると思います。個人的には、方言は話のネタにもなりますし、そもそも営業職ではないのでできれば直したくないのですが......」と、矯正する必要性をあまり感じていないようだ。とはいえ、「郷に入っては郷に従え...... 標準語に直すべきなのでしょうか?」と、世間の声を聞いて決断しようと思っているらしい。まずはサイトに寄せられた「直さなくてよい」派の声から。「人格の一部だと思います。特に関西弁はメジャーですし世間一般に認知されていますので上司個人のこだわりではないでしょうか?個人的には関西弁をはじめ、各地方の訛(なま)りが好きなので直して欲しくないです」「関西弁に馴れた人が標準語をしゃべろうとしても、どうしても関西弁なまりが出ますし、言葉だけの問題ではありませんからね。(中略)結局、自然体でいいと私は思っています。長くいれば、染まってきますよ」と、「無理に直す必要はない」という考えが書き込まれている。関西弁で嫌われイジメられたという人も一方、やはり「仕事の時には直すべき」との意見も寄せられている。「別に無理に標準語にしろ、というわけではありません。でも、方言は意外に意思疎通に問題が出てくる場合があり、その場合はみんなが理解できる言葉使いが必要になるということです」「新入社員が方言について自己主張はしないほうがいいと思うよ。主張するポイントが仕事のことならともかく、方言ともなるとちょっと的外れな感があるから。それに、入社して数年すれば社風も分かるし人間関係もできているだろうから、そうなってから関西弁でしゃべればいいんじゃないかな」また、あるユーザーは大阪出身で、中学3年生のときに関東に引越してきて、方言を嫌われイジメられたという経験を明かした。「確かにネタにはなりますが、大阪弁で話すのは仲良い子の前だけですね。東京の職場ではやはり関西弁話す人は目立つ上に嫌われぎみな印象です。うちの職場だけかもですが・・・」と、「関西弁は慎むべき」との実感を語っている。賛否両論が寄せられているが、関西人に限らず、地方出身者にとって方言はなかなか抜けない。ベテラン社会人であっても、微妙にイントネーションが違ったりすることもある。勢い、「関西弁は関西人のアイデンティティ」と公言する大阪からの転勤族もいるほどだから、関西出身者はほかの地方に比べて方言を使い続ける傾向があるのかもしれない。とはいえ、「故郷のなまりが抜けなくて悩んでいます」という地方出身者も少なからずいる。電話応対教育などを行う日本電信電話ユーザ協会のサイトでは、元NHKアナウンサーの岡部達昭氏による方言についてのコラムが掲載されている(2016年2月15日付)。そこでは方言やなまりが「ひどく気になる人」もいるとして、「すみません。私○○の出身でしてなまりが強いんです。お聞き苦しい点はお許し下さい。お分かりになりにくかったら何度でもご説明いたします」というような前置きをするとよいとのアドバイスも記している。(MM)
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