2024年 4月 25日 (木)

その16 真夏のスーツにネクタイ【こんなものいらない!?】

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   日本の夏は蒸し暑い。その暑さをいわゆる「ノーネクタイ・ノージャケット」のカジュアルな軽装で乗り切ろうという「クールビズ」が、今年(2017年)も5月1日に始まった。

   小池百合子東京都知事が環境相だった2005年に呼びかけた運動で、小泉純一郎首相(当時)のアイデアだそうだ。

  • 百貨店の夏物紳士服の売り場。「クールビズ」の一方で、スーツにネクタイも目立つ。
    百貨店の夏物紳士服の売り場。「クールビズ」の一方で、スーツにネクタイも目立つ。
  • 百貨店の夏物紳士服の売り場。「クールビズ」の一方で、スーツにネクタイも目立つ。

スーツにネクタイに「復権」ムード

   このクールビズ―― 個人の着るものに政府が口を出す、いわば「官主導」であり、「横並び」を強制する感じもする。その点はいささか気に食わないが、軽装そのものには僕も大賛成である。夏の服装には何かと苦労してきた。

   ところが、新聞の報道によると、最近はやや風向きが変わってきたみたいだ。

   「カジュアル過ぎると、ビジネスの場に合わない」という男性からの声が多くて、ジャケットやスーツが「復権」しつつあるようなのだ。ネクタイも裏地のない軽いものが売り出されたと聞く。

   でも、ちょっと待ってほしい。

   僕は新聞社にいた現役時代、経済部の記者を長くやっていた。企業の社長や財界人といった人たちに取材することも多かった。

   相手は真夏でも決まってスーツにネクタイ姿だが、僕は白い開襟シャツ姿だった。日本の夏にはそれが正しい服装だと思っていた。初対面の時には「こんな軽装で失礼します」と断りを入れたりしたが、不都合は何も起きなかった。

   ただ、少し困ることもあった。何かのパーティーの際には、僕以外の男たちは皆、スーツにネクタイ姿である。群衆の中で僕ひとりだけが開襟シャツ姿だと、その場になじまない感じがしてしまう。開襟シャツを着た「味方」が数人でもいてくれれば、と思ったこともある。葬儀・告別式の際もそうだった。

夏は白い開襟シャツがいい

   同じ開襟シャツでも、僕なりにいろいろと工夫してみた。たとえば、ちょっと派手な貝製のぼたんをそこかしこに付けてみた。そうすると、ややもっともらしくはなる。でも、存在感はスーツやネクタイにはかなわない。

   そんな軽装の「先駆者」を自負する僕にとっては、ジャケット、スーツやネクタイの復権傾向は残念なことである。なんとかして、この傾向に歯止めをかけたい。

   しかし、さっきのような僕の態度では、なかなかに難しい。開襟シャツを着ていることで、気弱になっている。

   まず、強い気持ちが要る。「スーツにネクタイがいくらのもんだ? 開襟シャツのどこが悪いんだ? 」――。そんな開き直りが必要である。

   しかも、開襟シャツはスーツにネクタイ一式をそろえるのに比べ、ずっと安くつく。ろくな給料をもらっていない若者が、ビジネスの場で開襟シャツを着てどこが悪いのか。何よりも「自分は間違ったことはしていない」との信念が欲しい。

   この夏、僕に続いてくれる人がいることを期待している。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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