成長力ある企業が続々 意外と「稼げる」ソーシャルビジネス(高城幸司)

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   知的なイメージで人気が高い俳優の伊勢谷友介氏。筆者が彼を知ったのは、NHKのスペシャルドラマ「白洲次郎」でした。

   日本で初めてジーンズを履き、英語を駆使する近衞文麿首相のブレーン。戦後は吉田茂首相の側近となって政治の中枢にいた、昭和史の鍵を握る人物。当時の骨太なダンディズムを、リアルに演じる姿勢に惹きつけられたものでした。

  • 「稼げる領域」かも……
    「稼げる領域」かも……

「危機感」が俳優・伊勢谷友介を突き動かした

   それ以降は、NHK大河ドラマ「龍馬伝」などで継続的に話題作に出演されていますが、そんな伊勢谷氏は貧困や環境、少子化など「社会問題」の解決を目指す、ソーシャルビジネスを事業にする会社の経営者でもあります。

   会社経営ともなると、社会貢献をスポットで行うよりも、従業員を雇い、継続的に収益をあげる必要があるので、難度が高い決断であったのではないでしょうか?

   リバースプロジェクトという社名で、2009年に設立。衣食住をはじめとし、水・エネルギー・教育・メディアといった分野で事業を行なっています。まさに俳優として注目度があがったタイミングに兼業を決意したのですが、このタイミングは日本としてはどん底でした。

   リーマンショックに加えて、2011年3月の東日本大震災。このままではダメになってしまう。そのような危機感の漂う時期に俳優兼経営者になったようです。

   筆者は伊勢谷氏とその共同経営者の龜石氏に、ソーシャルビジネスの件でお目にかかったことがありますが、社会問題の解決に関して熱く語っていたのが印象的でした。

   さて、最近は伊勢谷氏のようにソーシャルビジネスの会社を立ち上げる人が増えています。筆者はこうした取り組みを応援するSBP(ソーシャルビジネスプラットフォーム)の監事をしていますが、魅力的なビジネスプランで新たな切り口の社会貢献に取り組む経営者にたくさん遭遇することがあります。

   「ビジネスプランのピッチ=短時間のプレゼンテーション」を聞くと、われわれが普段は気が付かないような社会問題が世の中にはたくさんあって、それが放置されていることを痛感させられます。それだけ使命感を感じる機会が、たくさんあるということなのでしょう。

社会問題の解決と事業をつなぐもの

   ただ、社会問題の解決を事業として取り組み、継続するのは簡単ではありません。社会問題だから何としても役に立ちたい。何ができるかわからないけど、現場に行って、この目で確かめたい。と社会問題に関わる人たちから耳にする声です。

   でも、継続的な解決につなげたいなら、のめりこむだけでなく、冷静にビジネスとして何かできるか? 分析力と課題解決力に加えて、発想力が必要。ゆえに、思い立ったら会社を起こすのではなく、一緒に会社を立ち上げる仲間(人材)と資金に売り上げにつながる販路を準備してから着実に立ち上げる周到さを持ちたいもの。

   あくまでビジネスとして収益を得ることができないと、社会貢献は継続できません。社会問題の解決と事業をつなぐためには考える時間を費やすべきなのです。

   そうすれば、ソーシャルビジネスは意外と「稼げる領域」といえるかもしれません。ちなみに、ソーシャルビジネスで大きな収益を出して、株式公開を目指すような企業がいくつも出てきています。

   たとえば、オーガニックハーブのフェアトレードや、消費者の使い捨て意識を変えるためのユーズド子ども服の買い取りなど、さまざまな社会問題を事業化しているボーダレスジャパン社は増収増益で30億円以上の売り上げ規模にまで成長。150人以上の従業員を雇用するまでになっています。

   もし、みなさんが新しいビジネスを考えるときにソーシャルビジネスを領域のひとつに考えてみてはどうでしょうか? (高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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