その33 都会のカラス 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   何かで徹夜した朝、東京の飲食店街を歩くと、頭上を「カァ、カァ」と飛び回るカラスたちに驚かされる。

   どれも結構大きくて、飲食店から出されたゴミ袋を狙っている。あのクチバシで顔でも突つかれたら、と怖くもなる。

  • 早朝、高い場所から「食料」を探すカラス。(東京・池袋で)
    早朝、高い場所から「食料」を探すカラス。(東京・池袋で)

東京はカラスにやさしい?

   僕は中国で十数年、日本語を教えてきたが、教え子たちが初めて日本に来てまず驚くことのひとつは、カラスの多さと大きさだ。中国にもカラスはいるが、数は少ないし、ずっと小さい。そして、カラスは「不吉」の象徴にもなっている。

   カラスが大好きで、「カラスの教科書」「カラスの補修授業」(ともに雷鳥社発行)の著書がある松原始・理学博士によると、カラスにもいろいろ種類があるが、日本に多いのはハシブトガラスとハシボソガラスで、東京都内では体のでかいハシブトガラスが威張っている。

   ちなみに、「ハシ」は「クチバシ」のことだ。

   そのカラスが夜明けの東京でゴミ袋を漁るのは、何もカラスが悪いのではない。人間にとっては袋の中身が「ゴミ」であっても、カラスにとっては立派な「食料」なのだ。食べたいのは当然である。

   だから、人間側としては、カラスにそうされないように工夫すべきなのである。松原博士によると、もっとも簡単な方法はゴミ袋に目の細かい網をきちんとかぶせること。「物理的にカラスがゴミに触れない状態にする」だけである。

   次は「ゴミバケツ」そして「完全に覆われたゴミ置き場」だそうだ。僕が早朝、東京の池袋、銀座、新橋の飲食店街を歩いた限りでは、網さえかぶせていない無防備なゴミ袋が目立った。

大阪はカラスに食料を漁る時間を与えない!

   では、東京以外はどうかと言うと、大阪はカラスが少ないと聞く。これは大阪ではゴミ袋の収集時間が早いためとのこと。カラスに食料漁りの時間を与えないのだ。

   ところが、東京では夜が明けてからゴミ袋を収集するので、カラスにとってはまことに好都合だ。飲食店の営業時間との関係もあるのだろうか。

   さらに、海外の都市はどうなのか。これも松原博士によると、米国では生ゴミは家庭で粉砕して下水に流してしまうから、そもそもカラスが漁れない。

   街角にある巨大な鉄製のゴミ箱もカラスには歯が立たない。欧州でも同様のゴミ箱が歩道に設けられていることが多い。日本の都会はどうもカラスに優しいようだ。

   ここまでカラスの悪口ばかりを書いてきたが、東京の早朝の飲食店街ではカラスと並んでハトも目立つ。同じようにゴミ袋を漁っているのだ。そして、カラスよりも厚かましい。近づくと、カラスはさっと逃げるが、ハトはどこ吹く風である。

   童謡の歌詞じゃないけれど、カラスは「七つの子」がいる山に戻っていてほしい。ハトも神社や寺の境内で遊んでいてほしい。都会の飲食店街ではお目にかかりたくはない。(岩城元)

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岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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