2024年 4月 23日 (火)

サラリーマンが見習うべき「プロ意識」! 自主トレにみる社員教育のヒント(大関暁夫)

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   毎年のことですが、プロ野球のキャンプインがテレビやスポーツ紙などで一斉に報道されるのを見聞きすると、ふと、プロ野球のキャンプって、いったい何だろうと思ったり、何かマネジメントのヒントはないかものかなどと考えたりして、知り合いの元スポーツ新聞記者Nさんに電話でたずねてみました。

   まず、Nさんは、はじめにキャンプの定義付けから説明してくれました。

  • 2018年、プロ野球のキャンプがはじまった!(画像はイメージ)
    2018年、プロ野球のキャンプがはじまった!(画像はイメージ)
  • 2018年、プロ野球のキャンプがはじまった!(画像はイメージ)

じっくり「腰を据える」トレーニングの意味

「キャンプというのは、アメリカ大リーグで言うところのスプリング・トレーニングなのですが、英語のCampそのものに『腰を据える』という意味があるので、必ずしも和製英語ではないようです。
   それを踏まえ意訳するなら、レギュラーシーズン開幕を前に『腰を据えチームとして準備に励む』ぐらいの意味合いが、しっくりくるのではないでしょうか」

   なるほど、通常の練習とは違って『腰を据える』ことに意味があるのだと。では、その目的はいったい何なのか。それに対する答えを、Nさんは3つあげてくれました。

・ 首脳陣がシーズンを通して重視する「戦術の確認」
・ 攻撃、守備それぞれにおける、選手相互間での「連携プレーの徹底」
・ 細かい技術を「体に覚えこませるための反復練習」

   Nさんは現場記者時代に、複数球団のキャンプを、毎年全日程を同行取材したそうですが、球団ごと、あるいは監督ごとの個性がものすごく出る点がキャンプ取材のおもしろみであり、それをいかに読者に伝えるのかが現場記者の醍醐味なのだとか。そうは言っても、キャンプの目的はどの球団も監督も、あくまで上記の3点で共通しているということだけは明確に言えると断言されていました。

   ここまで話をするとNさんは、「プロ野球のキャンプには、じつはもうひとつ重要な側面があるのですよ」と前置きして、次のような話を聞かせてくれました。

「選手たちはプロとしてキャンプインの前に、やるべきことがあるのです。自主トレーニング、いわゆる自主トレです。毎年10月でシーズンが終了すると、11月が若手中心の秋季キャンプ。12~1月は完全オフになるのですが、ここがじつは大切なのです。2月1日のキャンプインに備えて、どれだけ体をつくっておけるか。キャンプで出遅れたり、故障したりというケースは、大抵準備不足。すなわち、必要な準備を怠るというのは、プロとして自覚が甘いということになるのです」

   さらにNさんは、「それともうひとつ、この自主トレにはさらに重要なことがあります」と力を込めて続けます。

「自主トレ」は後輩が先輩から技術や刺激を受ける機会

「近年自主トレは、ほとんどの場合合同自主トレと言って、先輩が後輩を誘って何人かで一緒に泊まり込みでトレーニングをするのです。自主トレに監督やコーチは一切ノータッチですから、選手間の絆も強くなりますし、若手は先輩から技術的なことを教わったりさまざまな刺激を受けたりして成長の糧になるのです。この自主トレがじつは、チームワークづくりや先々にわたるチームの伝統づくりに活きてくるのです」

   ここまで聞いて私が思ったのは、確かにプロ野球選手はチームに属しているとは言え、何の保障もない個人事業主ではありますが、仕事に対する「プロ意識の強さ」は、サラリーマン社会に生きる人たちも大いに学ぶべきものがあるのではないかということ。この点に関してNさんは言います。

「私もサラリーマンだったのでよくわかりますが、仕事のプロとして学ぶべきものは多く大変刺激を受けます。先輩が後輩に声をかけてやる自主トレは、キャンプと切り離しても真っ先に真似するべき部分です。スタートは上司が中堅社員に『やれ!』と命じることでもいいでしょう。自主トレが、皆のプロ意識を高めて上司と対等に話ができるようになるし、上司は上司でうかうかしてられないと危機感を持つようになる。それがイエスマンを減らしチームが活性化する一番の方策であると、新聞社の職場でも活かし実感しました」

   会社組織に例えて言うなら、キャンプはトップや上司が旗振りをする合宿会議や合宿勉強会。それをやることの意義はプロ野球と同じく、「戦術の確認」であり、「連携プレーの徹底」であり、「体に覚えこませるための反復練習」であるでしょう。

   そして、その合宿会議や合宿勉強会をさらに有効にするものが、合同自主トレにあたる、中堅、若手社員の自主勉強会ということになるのでしょう。これは合宿がないときでも、どんどんやればいい。最初は上司が中堅社員をけしかけてやらせることでいい、というわけです。

   プロ野球のキャンプは、じつは企業組織活性化のヒントが満載なのです。社員にイエスマンが多い、自主性に欠けるとお悩みの皆さまへの、ご参考まで。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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