「民泊新法」スタート! 料金、近隣トラブル、詐欺商法を防ぐ上手な活用法はコレだ

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   一般の住宅に有料で人を泊める「民泊」のルールを定めた新法「住宅宿泊事業法」が2018年6月15日に施行された。新法では、自治体に届け出をすれば原則、誰でも空き部屋を貸し出すことができ、地域の活性化や観光業の振興などに期待が高まる。

   その一方で、宿泊料金のトラブルや近隣住民への騒音などの問題も心配されている。新法のスタートにあたり、国民生活センターがトラブル防止のための賢い民泊の利用方法を紹介した。

  • 民泊を利用する外国人観光客が増える?(写真はイメージ)
    民泊を利用する外国人観光客が増える?(写真はイメージ)
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宿泊料金のほかに清掃料金まで請求

   国民生活センターによると、民泊に関する相談は2015年には57件だったが、16年は214件、17年は271件と急増している。相談例をみると、「キャンセルしたら宿泊料全額を請求された」「宿泊料のほかに清掃料金を請求された」などの料金問題のほか、「儲かるといわれ、高額のマニュアルを買わされた」など詐欺まがいの民泊商法の相談や、「騒音がひどい」「ごみが放置されている」など近隣住民とのトラブルが多く寄せられている。

   その具体的な事例を紹介しよう。

   【事例1】宿泊料全額をキャンセル料として請求

「インターネットの予約仲介サイトに「○○ホテル」と表示されていたので、ホテルと思い、早期予約で20%割引の部屋(約1万7000円)を予約すると、マンションを貸し出す民泊だった。キャンセルすると、早期予約の条件として宿泊料全額をキャンセル料として請求された。民泊も扱っているなら、わかりやすく表示すべきではないか」

   まず、大切なのは予約をする前に、民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づく届け出住宅であることを確認してから、申し込むことだ。

   予約仲介サイトの内容がわかりづらいという相談は多い。実際に国民生活センターが相談のあったサイトを確認すると、民泊であることや、キャンセル規定、宿泊に必要な料金総額が表示されており、利用者の確認が不十分だったケースが少なくない。しっかり認識して予約しよう。

   【事例2】清掃料金まで請求された

「インターネットの予約仲介サイトで、友人5人と1室1万円で宿泊できるマンションの部屋を予約、クレジットカードで決済した。5人で泊まるなら安いと思った。利用後、カード会社からの明細を確認すると、宿泊料のほかに清掃料金として1万5000円が加算されていた。予約申し込み時にはそのような記載はなかったと思う」

   これも事前の確認不足のケース。宿泊料のほかに清掃料金があるかどうかは必須の確認事項だ。逆に、民泊施設が十分に清掃されておらず、不潔で、衛生用品が備わっていなかったという苦情もある。

   【事例3】泊まれなかったのに料金を請求された

   家族5人の旅行のため、インターネットの予約仲介サイトで「アパートメント」という表示の安い宿泊先を予約、宿泊料金2万5000円をクレジットカードで決済した。予約後、外国語のメールが届いた。文章は読めなかったが、チェックイン方法を示す地図や写真が添付されており、指定先の郵便受けに携帯電話があり、電話すればよいと理解した。 ところが、指定場所に携帯電話がなく、たくさんの鍵がぶら下がっていたが、宿泊先に合う鍵がなかった。仕方なく帰宅すると、後日、予約仲介業者から「宿主は宿泊料金を請求すると言っている」と連絡があった。

   民泊の場合、宿泊施設に従業員がいないため、

「キーボックスに鍵が入っていなかった」
「暗証番号を入力してもドアが開かなかった」
「宿主に連絡が取れなかった」

など、宿泊できないトラブルが目立つ。

   また、予約仲介サイト運営業者に連絡しても早急に対応しないケースも珍しくない。事前に鍵の受け渡し方法や緊急連絡先などをしっかり確認しておくことが大切だ。

「必ず儲かる」と150万円のマニュアルを購入

   【事例4】民泊ビジネスの高額なマニュアル買わされた

「自宅に空き部屋があるので民泊ビジネスに興味を持ち、セミナーに参加した。マニュアルを買えば、トラブル回避のノウハウを教えてもらい、英語が話せるスタッフのサポートを受けることができると勧められ、約150万円で購入する契約を結んだ。帰宅後よく考えると、高すぎるし、怪しいと不安になった」

   このように「必ず儲かる」「初期費用を半年で回収できる」と勧められたが、「まったく儲からなかった」という相談が多い。

   また、マニュアルの購入やセミナーの受講だけでなく、予約仲介サイトへの掲載や民泊運営事業の代行契約を、高額で結ばされる例も少なくない。「民泊で、簡単に儲かる・利益が得られる」というセールストークを鵜呑みにせず、契約を結ぶかどうかは慎重に判断したい。

   【事例5】上階の部屋が民泊で騒がしい

「賃貸アパートの上階の借主が民泊に利用しており、外国人グループが入れ替わり宿泊し、夜中に騒いで迷惑だ。大家に連絡しているが、らちがあかない。どこに相談すればよいのか」

   民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行された後は、民泊オーナー(住宅宿泊事業者)は、周辺住民に迷惑をかけないよう、宿泊者に対して騒音防止やゴミ出しルールを守ることなどを説明する義務を負う。

   そして、周辺住民からの苦情や問い合わせに対し、適切かつ迅速に対応する責任がある。家主が不在の場合は、民泊施設の標識に「住宅宿泊管理業者」の緊急連絡先を記載しなければならない。まず、そこに相談すればいいわけだ。

   また、分譲マンションなどの共同住宅の場合は、マンション管理規定に違反する方法で民泊をしていれば、大家に適切な対応を求めることができる。賃貸マンションの場合も、賃貸契約に違反していれば、大家に訴えることができる。

   はじまったばかりの「民泊新法」。せっかくの旅行なのだから、民泊施設側も宿泊者もトラブルに巻き込まれぬよう、気持ちよく過ごしたい。

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