2018年 11月 17日 (土)

さあ夏休み! で、「キッズウィーク」ってなんだ? 働く親と子のための新制度って......

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   いよいよ、夏休み。ところで、2018年7月下旬から学校の夏休みの日程が変わり、子を持つ親はそれに合わせて仕事を休む必要が出てきたことをご存じだろうか――。

   「キッズウィーク」が今年度から政府主導で導入されたからだ。「ええっ、キッズウィーク? 何それ、聞いてない」と驚いたアナタ。心配はご無用。働くママの7割が知らないという調査があるほど、浸透していないのだ。

   「働き方改革」と「消費の拡大」の一石二鳥を狙う点では、あの失敗に終わったといわれる「プレミアムフライデー」に似ているのだが......

  • 親子が一緒に休み、触れ合うのが目的だが……
    親子が一緒に休み、触れ合うのが目的だが……

早くも「プレキン」の二の舞と 政府の「休み方改革」むなしく

   首相官邸のホームページによると、「キッズウィーク」とは、地域ごとに夏休みや冬休みなどの学校の長期休業日から、一部の休業日を他の日に移して休業日を分散化。学校が休みとなった日に大人も有給休暇を取得し、親と子が共に休日を過ごすことを国民運動的に盛り上げていく、というものだ。

   親子が触れ合う時間を増やすだけでなく、地域の企業も一体となって協力。親が有給休暇を取得しやすくなり、働き方改革につながる。また、まとまった休みを新たにつくることで、消費や観光需要を増やすことも目的の一つだ。

   政府の教育再生実行会議が2017年6月に提言。今年4月から導入が始まった。地方の実情に合わせて日程を調整するため、都道府県や市町村の教育委員会ごとに実施するが、2018年4月24日現在、すでに「日程を設定した」と答えたところは、都道府県では14.9%、市町村では8.6%にとどまる。残りは「設定を検討中」もしくは「設定する予定はない」と、熱意に乏しい状況だ。

   具体的には、どうやって新しい「連休」をつくるのか。たとえば「県民の日」を活用する例がある。例1を見てほしい。千葉県の県民の日は6月15日(木)。翌16日(金)を休日にすれば、15日~18日(日)まで4連休になる。このため、夏休みの最後の日の8月31日の「休業」を6月16日に移す。だから夏休みは8月30日までとなり、8月31日が2学期の始まりになる。

【例1】夏休み1日を県民の日後に移し、4連休をつくる
【例1】夏休み1日を県民の日後に移し、4連休をつくる

   例2は、夏休みの始まりの7月20日~21日と、終わりの8月29日~31日の計5日分の「休業」を10月16日(月)~20日(金)に移す方法だ。その分、子どもたちの夏休みは短くなるが、10月15日(日)~10月22日(日)までのビッグな8連休が生まれるという寸法だ。

【例2】夏休みの始まりと終わりの計5日を10月に移し、8連休をつくる。
【例2】夏休みの始まりと終わりの計5日を10月に移し、8連休をつくる。

   ちなみに、フランスでも学校の冬休みや春休みの分散化が図られ、休みが集中せずに旅行しやすくなり、観光収入の増大に役立っているらしい。

働くママの7割は「知らなかった!」

   狙いはわかるが、どれだけ国民に浸透しているのだろうか――。主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイル(東京都新宿区)の調査機関「しゅふJOB総研」が、712人の働く主婦に調査。「キッズウィーク」を知っているかとの問いに、「知らなかった」と答えた人が約7割の68.5%に達し、認知度が非常に低いことがわかった。

   また、キッズウィークの趣旨を説明したうえで、導入の賛否を聞くと、「賛成」が29.6%、「反対」が18.8%、「わからない」51.5%と、賛成が反対を上回った。しかし、もともと「知っていた人」(31.5%)に限って賛否を聞くと、「賛成」が21.4%、「反対」が30.8%と、反対が賛成を上回った。つまり、キッズウィークの事情をよく知っている人ほど、反対する人が多かったのだ。

   いったい、なぜか。調査に寄せられた賛成の意見をみると――。

「家族とのコミュニケーションを取る時間を、周りの環境が認めてくれる。気兼ねなく振替休日をとれる」(50代、正社員)
「休みが分散すれば、出掛けてもすごく混んでいるということがなくなる」(30代、在宅ワーク)
「最近の子供は忙しすぎて家族旅行に行くのがとても難しい。親子揃っての休日は必要」(50代、派遣社員)

などと、親子一緒に休む機会が増えることをよろこぶ。

   ところが、反対の意見をみると、そう単純には喜べない事情を述べている。

「子供が休みでも親が必ずしも休めるとは限らない」(50代、パート)
「通常の休みも取りづらいのにこんなことで休みをとったら、子どもがいる人への風当たりが強くなり、よけいに働きづらくなる」(40代、パート)
「企業によって、考え方や実施方法が異なるので、子どもたちも親も振り回される」(40代、派遣社員)
「有給は子どもの病気など違うことに使いたい。キッズウィークに使うことはない」(40代、パート)

   また、地域ごとに夏休みの日程が異なると、こんな問題が起こるという指摘もあった。

「地域で別の日程にされたら、600キロ離れた実家に帰省できなくなる」(40代、公務員)
「そもそも夫も私も暦通りに休めない仕事なので、そのような休暇ができても有効活用できないので迷惑」(40代、パート)

   もっとも多かったのは、

「認知度が低く、企業側も対応が間に合わない状況なのでは? 派遣社員にも対応してくれるのか?」(50代、派遣社員)
「休まなくてはならないなら仕方ないが、そうでないなら収入が減るから働きたい。派遣なので」(30代、派遣社員)

といった、よく理解できていない人々の戸惑いの声だった。

まず有給休暇をとりやすくすることに目を向けて

   今回の結果について、J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じた「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長は、

「キッズウィークのアイデアはいいと思うのですが、7割近くの人に知られていないことに驚きました。浸透という意味ではまだまだこれからです。気になったのは、『知っていた』と答えた人に限ると、反対意見のほうが賛成を上回ったこと。導入される場面を実際にイメージすると、『子どもいない人に遠慮する』『住んでいる場所が千葉で、勤め先が東京だと企業の協力が得にくい』とか、現実的な問題点が浮かんでくるようです。こうした問題を丁寧に解決していくことができれば、浸透していく可能性があるのではないかと思います。逆にそれができないと、プレミアムフライデーのように浸透に苦戦するのではないでしょうか」

と解説。さらに、こう強調した。

「そもそもキッズウィークの発想の原点は、大人と子供が向き合う時間を確保するための休み方改革にあります。有給休暇の取得促進は働き方改革の重要なテーマの一つですから、本来持っている有給休暇を自由にとれるようにすることにこそ目を向けるべきではないでしょうか」

   なお、調査は2018年3月14~28日、インターネットを通じてビースタイルに登録している働く主婦712人に、自由記述方式を交えて聞いた。6月13日の発表。

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