2024年 4月 25日 (木)

親が亡くなると「遺品整理」が大変...... 専門業者に頼むときの注意点はコレ

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   「大事な母の形見が......」「こんなはずじゃなかった!」――。老いた親や親戚を失った傷心に追い討ちをかける「遺品整理」トラブルがここ数年急増している。

   近年、核家族化の進展にともない、離れて暮らす親や親戚が亡くなると、その地域の遺品整理サービス業者に、故人の所有物の整理や処分を依頼するケースが多くなっており、料金や作業内容に関するトラブルが問題になっている。

   国民生活センターは2018年7月19日、「遺品整理サービスに依頼するときは、契約内容をしっかり確認して、慎重に業者を選んで!」と呼びかけた。

  • 見送った後の遺品整理が大変だ
    見送った後の遺品整理が大変だ
  • 見送った後の遺品整理が大変だ

「大事な形見を処分された」「法外な料金を請求」

   遺品整理とは、故人の持ち物を形見分けする物と再利用する物、廃棄する物に分別し、片づけていくことだ。

   従来、遺族が行っていたが、遠方に住んでいることや作業が大変ことなどを理由に、遺品整理サービス業者に依頼する人が増えている。業者も「街の便利屋」から、専門的な家財整理業者までさまざま。処分品の不法投棄や法外な料金の請求などが社会問題になったため、遺品整理業界の健全化を目的として、民間資格の「遺品整理士」制度が2011年に設立された。現在、全国に2万人を超える遺品整理士がいるという。

   国民生活センターによると、「高額な追加料金が要求された」「残してほしい遺品が処分された」といった遺品整理サービスをめぐる相談が、2010年代から増え始め、2013年~17年の5年間に全国で491件寄せられた。

   たとえば、こんな事例だ。

【事例1】見積もりの際にせかされて契約したが、作業が始まらない。

   兄が亡くなり、スマートフォンで検索した遺品整理事業者に兄宅に来てもらった。夫からその場では契約するなと言われたが、事業者から「今日決めると安くなる」「早く決めたほうが早く始められる」とせかされ、32万円で契約した。「ポストに鍵を入れておけばすぐ始める」と言ったが、数日たっても作業が始まらないので、電話すると「作業日はまだ決まっていない」と言われた。「賃貸の解約をしないといけないので早くしてほしい」と伝えたが、始める様子がない。(兵庫県・60歳代女性)

   いつから始めるか、口約束だけではダメ。契約内容について十分な検討をしないまま契約し、トラブルになることが多い。1社だけでなく、複数の業者から見積もりを取り、慎重に選ぶことが基本。契約前に、どのような作業を、どの程度の費用で、いつ行なうか、しっかり確認する。そして、それらのことを契約書面にしっかり明記することだ。

【事例2】解約を申し出たら高額なキャンセル料を請求された

   遠方で一人暮らしの母が亡くなり、地域の便利屋に遺品整理を頼んだ。見積もに3日間の作業で費用は37万円とあったので、了承して契約をした。後日20万円で作業するという事業者を見つけたため、便利屋にキャンセルを申し出ると、17万円のキャンセル料を請求された。キャンセル料について説明されておらず、高額で納得できない。(岐阜県・60歳代男性)

   キャンセル料のトラブルも多い。単なる見積りのために訪問を要請した事業者とその場で契約した場合、特定商取引法の訪問販売に該当し、クーリング・オフ(契約後の一定期間内であれば違約金なしで解約可能)ができる。キャンセル料は事業者によって異なるので、契約の際にキャンセル料の発生時期、金額をあらかじめ確認しておくことが大事だ。

大切な遺品は業者に任せる前に、自分で分けておこう

【事例3】作業時に予定外の料金を請求され、見積金額の2倍以上に。

   実家で一人暮らしの母が亡くなり、インターネットで検索した事業者に見積もりに来てもらった。見積金額は14万円で、その中でトラック1台分の廃棄物処理費が4万円ということだった。安いのでこの事業者に決めて作業に立ち会った。事業者はトラック1台分の荷物を積み込むと、「4万円を先払いしてもらわないと廃棄物処理ができない」と言うので4万円を支払った。

   その後も荷物処理のため何度も往復し、そのつど4万円を支払った。結局、合計32万円で見積額の2倍以上に。廃棄する荷物が多くなると、追加費用が発生するという説明は受けていない。(滋賀県・60歳代女性)

   作業当日に突然、トラックの追加が必要になったなどと、追加料金を請求されることがよくある。契約の際には、追加料金が発生する場合があるかどうか、また、どういう場合にいくら発生するか、必ず確認しておこう。

【事例4】残してほしいと頼んだ物を処分された。

   一緒に住んでいた母が亡くなり、インターネットで探した事業者3社から見積もりをとった。一番安い事業者に依頼、作業員が3人に来た。その場で自分が不要か必要か判断して作業員に指示を出し、遺品を運び出してもらったが、後日ラジカセ、DVDプレーヤー、ゲーム機などがないことが分かった。これらは自分の物で、処分しないように指示したのに作業員が誤って運び出した。作業も遺品を乱暴に扱うなど雑であった。何とか取り戻したい。(愛知県・50歳代男性)

   大切な遺品を誤って処分されるケースがよくある。また、部屋や残しておく遺品を損壊されるなど、作業員の不手際に関する相談も多い。

   大切な遺品を紛失、破損されないよう、残しておきたい遺品は作業が行なわれる部屋から、事前に運び出しておく。自分で運び出すのが難しい場合は、残す遺品と処分する物を分け、作業員に分かるよう印をつけておく。

遺品整理サービスを利用するときの注意点(国民生活センターのホームページから)
遺品整理サービスを利用するときの注意点(国民生活センターのホームページから)
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