2020年 10月 1日 (木)

インドで「物乞い」に遭遇したとき、ドケチの日本人はどうすべきだったのか(北条かや)

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お年寄りの物乞いは許されている?

   現地の人は、障害をもった人やお年寄りには比較的優しい。「喜捨(バクシーシ)」の精神で、富める者が貧しい者に施しをするという習慣が根付いているからだ。

   その一方で、ストリートチルドレンの存在はほとんど無視されている。

   聞けば、からだが弱って働けない老人はまだしも、子どもの中には「組織的に物乞いをさせられている」ケースもあるから、キリがないというのだ。ガリガリに痩せ、赤ん坊を背負って手を差し出す少女を無視すると、心がズンと暗くなる。

   それでもう、最初から「あげない」と決めたのだが、やっぱり子どもたちはやってくる。クルマの窓をコンコンと叩いて、こちらが聞き取れないヒンディー語(おそらく)を発し、大きな目をうるませて小銭を乞う。

   小銭ではなく食べ物ならどうかと、パンをあげても首を振り、「お金がいい!」とジェスチャーをされるから、ちょっと凹む。無視したら、イライラしたのか、その子どもが道端の野良犬に飛び蹴りを入れていた。犬も子どもも、憐れである。

   私などが「施し」をしても、この国の貧困は改善するどころか固定化してしまうのではなかろうか。ときどき「発展途上国に井戸を掘ります」とか、「孤児院を支援します」みたいな国際団体を見かけるが、彼らに寄付したほうが長期的には善なのでは......。

   結局、物乞いの子どもたちに小銭をあげなかったのは、私が単にケチだから、かもしれない。私なんぞが施しをしたからといって、この世界は何も変わらないという、ちょっとした絶望もあった。

   帰りの空港で、余ったルピーを持て余した。

   なんだか贅沢品を買う気分ではない。帰国後、使うあてのないインドのお札を引き出しにしまった。結局、私はインドで大した施しもせず、贅沢品も買わず、何にもできなかったのである。(北条かや)

北条かや
北条かや(ほうじょう・かや)
1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。近著『インターネットで死ぬということ』ほか、『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』などがある。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
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